オペラシティ・近江楽堂へ。

気持ちもやや晴れて、かねてより断片的に名称を聞いていた、謎の楽器「ガンバ(ヴィオラ・ダ・ガンバ)」。英さんの演奏を聴きに、オペラシティ・近江楽堂へ。
初台へはまだまだ時間があるし、地下鉄みたいな京王線ではなく、中野から空の下、バスをチョイス。
近江楽堂は、「おっきなホテルのトイレ前スペース」みたいな小スペース。
真円形の中に客席、壁が一枚しつらえてあって、その前がステージ。壁の両側から出演者が出入りできる(やっぱ入り口が男女別になってるトイレみたいでしょ)、という構造。頭上はきれいなドーム状で、全て石のドームだとさすがに残響がつきすぎるのだろう、外はガラスになっていて、石の天井ごしに十字に溝が切ってあり、音が適度に抜けるようになっている(らしい)。
実際、チェンバロや弦楽器のデリケートな胴鳴りが、ダイレクトに心地よく聞こえるつくりになってるように感じた。ここで歌うとどんな音になるんだろう・・・俺の声量じゃ、キャパ・オーバーか。

ガンバ。
ビオラ・ダ・ガンバが正式名称。ビオラというのは今もオーケストラ楽器の中で、バイオリンの次に大きい(低音)楽器としてある。何の予備知識もなく、なんとなくそんな想像だったのだが、最初の4重奏から、大きさのまちまちな楽器が出てきて面食らう。どうやら「テナー」とか「バリトン」とか、同じガンバの中で分類があるらしい。でかいのはほとんど見た目チェロ。ただどれも弦は6本あるのと、弓弾きなのだがバイオリンのように手首に力を入れる奏法ではないらしい。とっても柔らかい音。
英さんは、そのチェロ様のでかいのを演奏し、チェンバロが伴奏。終演後、ロビーでちょっと話したが、「自分は人前に出たくないんだけど、その場で演奏する人間が自分しかいないから、仕方なく(音楽に)引っ張り出されて演ってる感じ」、と自身の演奏を謙虚に振り返って笑っていたが。本番って、なんだかそんな気になるもんだ。俺も長年やってる歌ですら、毎回そうなんだもんなぁ。

クラシック音楽とは最近、どうもソリが合わないので、英さんまでの2組を聞いたところで帰宅。申し訳ない(プログラムを見るとこの後、リコーダーとのアンサンブルなんかもあったらしい)。実際に演奏しているのを目の当たりにすると、「古楽器」といわれてもぴんとこない。ありがたみがよくわらない「猫に小判」な俺だ。実際、音のイメージだって何が古さを感じさせるのかわからなかった、のは演奏者の技量が高かったせいかもしれないが、現代のクラシック曲?を演奏しても、なんの違和感もないだろうと思う。
それにしても英さん、ウクレレやギターはなんとなく共通な部分があるイメージがあるが、歌も歌うしおまけに弓を使う弦楽器まで・・・いったいそのモチベーションは、どこから来ているのだろう。そんなことを思った帰りの電車内。