代休が取れた木曜日

は、平日にしかできないことをしたい。
三鷹市美術ギャラリーに「怪獣と美術〜成田亨の造形芸術とその後の怪獣美術〜」を見に行った。
と書くととっても身軽そうだが、もちろん日ごろから行きつけている場所なわけがない。展覧会や美術展を見に行くのはとっても気力がいる上に、展示内容への興味とタイミングが合う合わない、という問題があるので、俺にとっては年に一回、あるかないかの大イベント・・・というかこの気力、年内分使い切ったな、多分。
入り口で団体さんと一緒になってしまったので、一旦会場内を一気に早足で抜ける。どこになにがあって、興味ありそうなコーナーはどこかアタリをつけてから、入り口に戻る。
実は「その後の」とあるように、成田亨さんの作品だけではなかったのだが、もちろん彼のが一番多く、じっくり眺めることができた。
番組企画時のラフ・スケッチからは、カラータイマーのないウルトラマンや、「レッドマン」の名称で今とは似ても似つかないウルトラセブンの初稿なんかもある。
そんな中、多くを占めるのは、後年になって自身の怪獣・宇宙人キャラクターを使って書かれたイメージ画で、こっちはどの怪獣も生き生きと描かれている。ケムール人やペガッサ星人が躍動的に描かれていて妙にかっこよかったり、カネゴンが夕暮れに佇んでいる絵が印象的。
「宇宙人の気配」という連作や、絵だけでなく立体的な造形物も見ていると、どの作品からも、このヒトは自分の内なる「怪獣」と戦ってきたんだな、という気がした。
そう思って展示室の角を曲がると、次の展示室に成田さんご本人のことばがあった。
残念ながら、手元に買った画集にはその文は載っていなかったので、要旨だけだが、
最近の怪獣デザインが面白くないのは、という問いに対して、

美術家は、自らの内面世界を見つめて作品を生む
デザイナーは、顧客からどう見られるかに主眼を置いて作品を作る
最近はデザイナーが怪獣をデザインしているから、怪獣のデザインがつまらないのだ

と答えていた。
俺自身も「怪獣」のことばに釣られて、こうして来たくらいで、そんな一般の人たちにも、美術について触れる機会を提供しよう、という主旨だろう。毎度この手の美術展で、展示数が多いのには辟易するが、怪獣関連とその他の展示物のバランスはちゃんと計算されている気がした(21日まで開催)。