丁度今、移転が始まっている団地内の商店街が、まだ子ども時代の俺たちやその親の井戸端会議で賑やかだった頃、俺たちは一日でも早くオトナになりたがったものだった。
オトナにならないとできないこと、持てないものが沢山あったから。
今の職場に来てから、すっかり若者と縁のない生活になってしまった。日ごろ応対する9割は、俺よりはるかに年上の方々だ。
昨日も、そのうちの一人に一喝されてしまった。
こちらに落ち度がないとはいわないが、自分の意見を通すことしか考えてない人しか、いないのかなぁ。
ああいう風にトシはとりたくないよな。

やめやめ。
よかったこと思いだそ。
同じ会議に来ていた方に、「阿佐ヶ谷(中止になって)、残念だったね」といっていただいた。先日初めてお会いして、いつものように控えめながら自分も阿佐ヶ谷に出演予定だと話をしただけだったが、こうしてちゃんと覚えていてくださった。こういうヒトが、人と人との間をちゃんと繋いでいくんだと思う。俺には無理だ。
すごいなぁ。

その後、早い夕食を摂りにラーメン屋に入った。
まだラーメン1杯を持て余すほどの食欲しかなかったのだが。
厨房から聞こえる老夫婦の談笑。重い気分を抱えた俺とは全く無関係な時間が流れている「職場」。別に腹がへっているわけじゃなかったのに、3食摂っている自分。そうそう、食べることって本来、生きるための作業なんだよな、と至極当たり前のことに思い至って、ひとり苦笑い。そんな簡単なことすら、うっかりすると忘れちゃうのか。胃が膨らむと、ちょっと気持ちもあったかくなった。

その後、ペンギンの練習。リード曲でも思いっきり歌えばすっきりするかと思ったが、丸一日寝込んだだけだというのに、基礎体力がすっかり落ちちまった。思うように声が出なかったので、却ってストレスに。
帰りの井の頭線がとっても久しぶりな気がして、芝事務所の自分の机が強烈にフラッシュバックした。
暗い露地から見慣れた茶のぶちの猫が飛び出してきて、そういえば六本木の猫たちはどうしてるかな、俺たちがいなくなって、我が物顔で校庭を走り回っているんだろうか・・・。
今年ももう、終わりか。
また何も、変わらなかったなぁ。