土曜日出勤は、田無駅前。

高校生のころ、仲のよかった同級生が住んでいたので、よく立ち寄った場所だが、それにしてはこの北口の、みごとな変わりよう。
写真左手の瀟洒な建物は、当時から特徴的で、確か本屋さんだったと思う(今は薬局)。
その前の道は車が入れない細い道で、いつも人通りで賑わう駅前商店街だったはずだ。
さらに左手後方には手狭ながらバスの車庫があって、武蔵境駅との間を同社のバスが頻繁に行き来していたせいか、どうも俺の記憶の中の旧・駅前風景は、当時の武蔵境駅と混線している。
つまり、これ以上の風景を、重ねあわすことができなかった。
俺の記憶が脆いものだということと、道筋や人の流れまでは変るまい、と高を括っていた街並みでさえ、片鱗すら残さず変れるんだ、ということにちょっと衝撃を受けた。記憶の中ですら、もはや復元する手立てがない、ということに。
別に、街並みを懐かしんだり惜しんだりしているわけでもなく、それほどの思い入れある場所だったわけでもないはずなんだが。

東京に住んでいる人たちの間では、一般に都心から西に行くほど「田舎」扱いされてきた。
なんかどうしても「変らなくちゃ」いけないものだったらしいのだ。
そう思うとこの資本主義ってやつ、随分とつまらないもんじゃないか。
この後、場所を移さなかった大手ファーストフード店(よく溜まり場にしていた)とともに、よく立ち読みに寄った本屋さんが移転して営業していたのを見つけて、ちょっとほっとした。