お盆休み

世間では明日からお盆休みなんだな。テレビのニュースで知ったが。
ここまで仕事の切れ目がなかったせいか、俺はてっきり、来週末だとばかり思っていて、実際職場の同僚ともそんな会話をしてしまっていた(恥)。
俺にとってはテレビのニュースで(他人事として)知るものであって、実体験とはかけ離れたものなんだなぁ、と思う。そんなウチの会社は、昨年と違いお盆休業はなく、夏季休暇は有休消化による自己申告制、らしい。
少し前、夏風邪をこじらして欠勤してしまったのだが、その際に携帯電話が不意にオチた。さすがにもう寿命だとは思うんだが、余計な機能が必要だとは思っていないので、買い替えるつもりは今まで毛頭なかった。
しかし、こうして独り、部屋に寝ていると、「世間との連絡手段がなくなった」、という危機感に捉われるのも事実だ。
ん〜、危機感、というとちょっと違うか。恐らく(俺だけでなく、現代人のある程度が)そういう「最期」になり得るだろうことは、わかっているつもりだから。
実際に抱いた危機感は、もっと実務的な「損失」の想定・・・例えばカノジョとの連絡はどうする、東京のバンド活動に関するメールは、両親、とりわけここ1ヶ月体調を崩している母の容態が気になる、などなどだったんだが。
ようやく鈍い俺でも、引越しに伴う一種のお祭り気分や、ひとり暮らしそのものへの興奮状態も冷めてきて、多少とも独り暮らしの「現実」だけが見えてきた気がする。
ここまで全て偶然ではあったけど、この部屋が、この街が、すっかり気に入っている。
まだ四季を通じて暮らしたわけではないが、日当たりに不満はなく、大家さんもいい人で、掃除をするにも手ごろな広さ、窓を開ければクーラーがいらないほど風通しがよく、そして台所の窓から見える夕景。
以前父が訪ねてくれたとき、最初に母と住んだ家に似ている、といわれたこともあるかも知れない。
この街ももちろん、欲しいもの全てが揃う、なんて街ではないが、俺にとって手ごろな広さの商店街は、どこに何があるかが把握できて、それなりに好ましい活気もある。
それにつけても、この生活(水準)を自分の稼ぎで支えていかなければならないわけで。学生時代のひとり暮らし経験のなんとお気楽だったことか。
まぁ、周囲の数少ない友人たちは、とっくの昔にそういう暮らしを経験していて、もしくは一歩も二歩も進んで家族の生活を支えていたりもするわけで、なんとも今更なんだけどね。
そんなことをわが身のこととして考えると、ちょっと気が遠くなった。
いつもより長く感じられた1週間だった。