始まりの、始まりなのだ(★★☆毒、混じってます)

3月にもなってようやく、今年初めのらくがきとなりました。
今回、画像はありません。
なんと2014年もあっという間にもう1/4が経過、今日現在、クリスマスまでもあと282日しかありません。
私事ながら、3年続いた名古屋(FAN)に今年は行けなくなった、その4月からはいよいよ消費税が8%になる、夜9時すぎにNHK集金人の急襲を受けた、耳の聞こえない作曲家は作曲をしない人で、美女の論文は盗用疑惑、隣室の学生には彼女ができたり・・・。
というわけで、何かと投げやり気分でお送りしています。

初めの話は、始めから。というわけで今回は、演奏前のウォームアップで、私が何をしているかについてです。
(万人に)正しい発声法、などというものがあるかどうか知りませんが、あくまで私個人について、発声の考え方と、これまでの経験から今のところ個人的には問題が少ない方法論について、書いてみます。

発声を主体的・体系的に学んだのは、大学時代に合唱部で指揮者をやらせてもらったときで、日々の練習で必要な知識であるのはもちろんのこと、後輩の発声を診てあげなければいけない立場になって、慌てて少し勉強したものです。この合唱部にはプロのヴォイス・トレーナーの先生がいらっしゃって、月に数回、合唱部全体に練習をつけてくださっていました。ありがたいことに小さい合唱部だったため、この練習が他の大学の合唱部と違い、ほぼ個人練習のようなものになっていました。指揮者になってからは個人的にもいろいろと相談にのっていただいたり、自身が指導する側になったことの悩みや、わからなかったことを質問攻め(笑)したりして、大変お世話になりました。
発声についての基本的な姿勢は、「私はいかにして・・・」の中にも書いたようにこれ以前、中学時代に合唱部で歌っていたことで、自然と身につけていたように思います。
発声法、というとどうも、喉を直接鍛錬して、あたかも自分の声ではないような美声を目指すもののように思われがちですが、声を培うのは息の使い方です。様々な息の使い方を覚えていくことで、より人に「伝わる」声を得ることができるようになるものです。
クラシック音楽たる合唱は、大学でも最初から選択肢としてアカペラ・サークルがあるような昨今、経験して来ない人たちが増えていますが、メリットは沢山あります。クラシック音楽から始まってブルース、ジャズ、歌謡曲やポップスに至る音楽表現そのものの歴史、その大元を追体験できること、また和声の考え方やメンバーの声のトーンを揃える方法論などは、長い歴史に培われたスキルとして、到底数年で学びきれるものではありません。この辺りのことは、また機会があったら自分なりにまとめてみたいと思います。

首、肩、腹式呼吸で使う腰周りの筋肉と、顔の表情筋を、十分にほぐします。
それから、いつも歌っているときのように腹式呼吸を、少し大きめに。動かすときは、最初はロングトーンのようにゆっくりしたものから、徐々に強く、速い動きになるようにしています。
ここで初めて、声を出します。
ここでも、最初からいい声、正しい音程にしようとしないで、始めは息が出るに任せる感じ。
徐々に跳躍音や複雑なパッセージにしていくにつれ、正しい音程と声で歌うようにして、仕上げに何か、自分のお気に入りの曲や当日のレパートリィから一節を歌うことに決めておくと楽しくできます。母音の違いのせいか、俺の経験上は、歌詞は英語の曲の方が、本番での調子がいいことが多いです。
これらは手際よく進め、全てを入念にやっても15〜20分程度に留めます。演奏前に体力を消耗する必要はありませんから。

声を出すにあたっては、響点を意識します。
私が大学で学んだ(というとなんだか、音大に行っていたみたい(^^;)フスラー式では、7箇所を想定しているようです。
「起こす」順番とともに記すと、

上歯⇒首の付け根(背面)⇒鎖骨中央⇒硬口蓋⇒鼻の付け根⇒額⇒頭頂・軟口蓋

となります(いわゆるテキスト記載順ではなく、個人的経験から)。
筋力鍛錬を目的とした練習の場合も、恐らく同じ順序になるとは思うけれど、ここではあくまで、各響点を意識して声を出すことで、喉とその回りの筋肉を暖めて、コンディションを整えるものです。
また、各響点はその箇所だけが鳴っているわけではなく、もちろん声にする以上、全ての響点が何らかの音で鳴っています。
私はご存知の通り、テナー(男性高音部)担当ですが、元来低い響きを鳴らすための、首の付け根や鎖骨を先に起こしていることに、おや? と思われた方もいるかも知れません。
いきなり高い声を出すことは喉に不要な負担をかける、というのは経験上わかる人も多いんじゃないかと思います。そのためのウォーム・アップでもあるので。
実際、高音部を響かせる頭頂部やファルセット(いわゆる裏声)などは、正しい響きを得るまでには予め喉を十分に暖めておく必要があります。
このほか、ヴォーカル・ベースだからといって低音に関係する響点だけが鳴っていればいいというものではなく、例えばPA卓で、EQの低音域だけをブーストするのではなく、一見関係なさそうな高音域をブーストしてやると、却ってコーラス全体の中ではベースの輪郭がはっきり聞こえたりすることと一緒(?)で、一曲の歌の中では、様々なトーンの声の表現力が要求されています。その中で、あくまでもウォームアップの目的は、喉のフルスペックを無理なく引き出してあげることなのです。ベースだから低音部だけ、テナーだから高音部だけ、という発声方法では、自身の喉の表現力を、十分に引き出すことはできません。

で、気になるそれぞれの響点を起こす具体的方法については、冒頭のように今の俺は投げやり気分なので、参考書籍を参照のこと。
…と思ったら、絶版になってしまったんですね。

新・発声入門

新・発声入門

  • 作者:森 明彦
  • 発売日: 1998/12/10
  • メディア: 単行本

本番前でも練習前でも、最近は発声練習などしないで歌いだしてしまうことが多くなりました。歳をとって体力が落ちてくると、これでは喉の寿命を縮めかねないなぁ、とちょっと反省。

今日のまとめ

  • 自分なりのウォームアップ手順を考えることは、自分の喉について知る一番いい方法です。
  • しかしどうやら、トライ&エラー以外に近道はありません。
  • ゴーストライターと論文の盗用、NHKの集金には、注意しましょう。