いっぺん、やってみたかったことをやるのだ。

実はここへ引っ越してきてから、一度やってみたかったことを、寒さが緩んできた今日、ようやく実現してみた。
花粉が怖い、などと部屋に引きこもっている場合じゃない。
駅近くに野球場を擁しただだっ広い公園があって、ここならばちょっとくらい(?)ドラムを叩いても周囲に迷惑がかかるまい。
ということで、愛用のスネアを持ち出したのは、なんと11月の、ノミの心ぞうの本番以来。
11月の演奏の後、セットと一緒に実家に引き上げたのだが、それから程なく、メンテナンス(分解掃除)をしようと思ってスネアだけが千葉に移動してきた、だけ。それからずっと、この部屋の片隅に陣取ったまま、いつの間にやら年が明け、年度も変わる直前・・・。
気温差でシェルが痛むといけないので、テンションボルトは全て緩めてあったので、まずはさくっと手荒くチューニング。ここ数日続いている携帯アンテナ工事の騒音にまぎれて、自室で10分ほど。
それから、スティックとメトロノームをスネアケースに一緒に詰めて、スネアスタンドを手に持って移動。
そうそう、水筒に紅茶を淹れて持っていこう、などとやっていたら、いつの間にやら気分はピクニック。
公園に向かう肩のスネアは、久しぶりのせいか思った以上に重かったが。
予想外だったのは、快晴の春休みで親子連れが多かったのと、ベンチがないこと。民家に近接している公園周囲のベンチでは、さすがに苦情がくる可能性がある。
仕方ないので、野球場のバックネット位置にある杭によりかかって、叩くことにした。
それでも何も反射するものがない、広い屋外での生音は、思ったほどには飛ばずに空間に吸い込まれて消えていく。
それでは心置きなく。
しかし大きな音で叩くと、チューニングのアラがバレバレだな。スナッピーが寿命かぁ。
加えて、ごく簡単なフレーズでもよれてしまう自らの技術がちと、恥ずかしい。
はじめのうちは、本物のスネアのヘッド上で暴れるスティックに梃子摺った。やっぱりゴムの練習台とは、ニュアンスがかなり違う。
そんなことに必死になっていくうち、徐々に自分の叩くタイミングと音だけに気持ちが集中、余計なことを考えず、気持ちがまっさらになっていく。
煩悩が消えてく感じって、こういうものだろうか。
ブランクがあったので時間はかかったが、それでも1時間もするとスティックが腕の一部になったように、リバウンドをうまく拾えるようになった(ような)手ごたえを感じられる。
ここまでくれば、しめたものだ。脳内から何かが分泌されてきて、単純なリズムを繰り返しているだけでも、なんだか楽しくなってくる。
アクセントの置き方、ディナミーク、チューニングの不具合そっちのけでの、いい音の追求・・・自分なりの練習プログラムを考えるのは、パズルを解いているようで、気付くとあっという間に2時間半が経っていた。
この程度で気分が軽くなる俺も単純だが、充実した平日休み。
それもここまで一切カネがかかっておらず、しかも陽の光と一日、戯れていたような充足感。
来月からはシフトがやや変わり、曜日が変更になったが平日休みは相変わらずあるので、できるだけ間を空けずにまた来よっと(っつーか、練習は毎日しろよ、俺・・・)。
不思議なことに、花粉症の症状は出なかった。マスクは持っていったものの、しなかったのだが。好きなことをやっていたからか、それとも体質が変わりつつあるのか・・・。
夕食の買い物帰りに遠回りしたお寺の裏で、桜の花びらが道一面に・・・反射的に上を見上げたら、満開の桜の樹があった。
東京のソメイヨシノ標準木は、今日開花宣言だったらしい。
多分、種類が違うのだろう。
29日には近所で観桜会があるのだが、あいにく出勤日にあたってしまっていて、今年も行けそうにない、残念だ。