夜の踏み切り

3年前、前職がきっかけで千葉に引っ越してきて、学生時代の下宿と大きく違って予想外だったのは、なんとこの俺がホームシックにかかったことだった。仕事を辞めたくて仕方なかった、越してきて半年過ぎくらいが一番辛かった。
翌日の勤務に差し支えないように、と思いつつも、寝る前になって買い物のアテもないのに、駅前のコンビニまで散歩に出るようになった。踏み切りの脇には「日本一、駅から近い」と看板を出している畳屋があり、すぐ隣、角のだんご屋脇に、凝った手作りの木製ベンチを2脚、置いてくれている。
そこに腰掛けて、駅を利用するために夜遅くまで行き交っている様々な人たちを眺めては、いろんなことを想像するのが、どうしてもひとりの部屋で孤独に耐えられなくなったときの俺の習慣になった。
今では一人暮らしを謳歌できるまでになったが、それでもどうしようもないときや、気持ちの持って行き場がないときなど、やはり夜になると駅まで行ってしまう。

今日、仕事場でちょっとショッキングなできごとがあった。
実は俺、元々休みだった木曜日に続いて昨日・金曜日、風邪をこじらして休んでいたのだが、2日ぶりにわざわざ土曜日に出勤したらこの始末、と考えるか、治りかけの風邪を圧しても行ってよかった、と思うべきか。とにかく急なことすぎて、しばらく気持ちの整理がつきそうにない。
もしも万が一、どこかでこれを読んでいたら、身の回りが落ち着いた頃、「退屈だぁ〜」でいいから、連絡くれれば、とても嬉しいです。
それから、気持ちだけで身体を引っ張っていこうと無理せず、身体も「自分」なんだから、くれぐれもいたわって。

ここ数ヶ月の俺は、コンビニでアイスを買ってから、このベンチに来るのが楽しみになっていた。
そろそろアイスじゃ、ここは寒いな。
今年の夏も、終わりか。