（もはや何度目か忘れるほどのトシだ）
特に何か予定を入れてあったわけでもなかったが、朝寝坊をして起きると、一面曇天だった。
今のテンションで、ひとりの休日になんか、するべきじゃなかったな。会社で同僚に祝ってもらった方がよかったかも知れない、と早くも後悔していた。のだが、翌日出勤してみると、ロッカーの中から小さな包みが…なぁんて、この時点での俺が、明日のことなぞ知るよしもないのだった。
昼前、先日と違う若い女子学生とその父親と思われる男性、それに大家さんの声が聞こえ、隣の空き部屋の内覧があったらしい。会話が気になって、つい耳をそばだててしまう自分が鬱陶しくなり、整体に行くことにした。
いつもの会話の中で、俺が今日誕生日だと伝えると院長先生は、俺から好きなものを聞き出してくれて、買わないまでも実物を愛でに、街にでも行ったら（要はウィンドーショッピング）どうか、と提案してくれた。
整体院を出ると結構な雨になっており、一旦部屋に戻って傘を持参。再び家を出ると、近所にある全国的に有名になった洋菓子屋へケーキを見に行ってみた。ここは音楽仲間への手土産などで今まで何度か利用したことがあるのだが、誰もが喜んでくれる有名店なので、中々重宝している。実は、自分のために買ったことは一度もなかったりする。
んで、実際に自分のために買おうとすると好みがはっきりしているせいもあるのだが、お値段にうんざりしてしまい、そのまま店を出た。
俺の「貧乏症」も、いよいよ本物になってきたようだ。決してそういう自身を悲観しているわけではなく、今のところ何かにつけての節約生活が楽しい、という感じ。
結局、もちっとリーズナブルな洋菓子屋で、モンブランとフルーツロールなんぞを買って帰ってみた。最初のうちはうまいと思っていたが、じきに飽きるようになり、なるほどこの手の「安物」とは、こういうものなのだ。強烈な甘さで素材の安っぽさをごまかしているらしい。
こんなことならケーキに限らず、いっそ久しく行っていない勝田台のトレインカフェに行けばよかったと、これは翌日になってから思った。
来年はぜひともそうしよう、という自分のための覚え書き。
結局そのあとは誰と話すこともなく、テレビを見ながら部屋でゴロゴロして過ごしていたら、夕方、立て続けにメールをもらった。
思ってもいなかった人からもらったり、逆に毎年のようにもらっていた人からは来なかったり…こちらも今の俺の生活を反映してか、なんとも混沌としている。
このうちの1通は前職場でお知り合いになった外部団体の方からで、もちろん俺の誕生日を知っているわけもなく、単なるパソコン操作に関する問い合わせ、だったのだが、なんで俺のところへ？ と思う前に、このタイミング、2年ぶり。懐かしくてありがたかった。
