衆院選挙、終わる。

民主党のTVCMが、なかなか衝撃的だったです。以下、ナレーションから引用。

「夢は、正社員になること」

今となっては、そーでもないです

「安心して子育てをしたいです」

俺の遺伝子だけは、受け継いでほしくないんだが

「お金をためて、結婚したいです」

特定の誰かとずっと一緒に暮らすことを考えただけで滅入りますが。

民主党のHPによると、「女性の見方」編、というタイトルまでついていたらしい。
改めて動画を見たくてネット検索したら、やっぱり「違和感」という意見の方がゴロゴロ。俺だけじゃなかったみたい。
…もっとも、このCMは女性に向けて作られたもので、俺は男だから受け取り方が多少違っても仕方ないか、とも思っていたが。俺の考えでは女性の方が、社会に強要される格好でだが、既にはるかに多様な暮らし向きをしてると思うけどね。

一方、与党自民党のTVCMは、「この道しかない」…恫喝じゃないのか、これ?
期待の麻生サンは街頭演説で、
「この円安で儲かっていない会社には、経営能力を疑う」といっちゃったらしいが、それより俺には
「この円安で倒産した会社は1社もない」
の方が衝撃的でした。
それにしても以前ほどにはマスコミがノッてこない…どうやらこの人は、失言が許される稀有な政治家になってしまった、らしい。これで現職の財務大臣なんですけどね、このヒト。

世の価値観は政治家たちの想像をはるかに超えて、とっくに多様化しているというのに。
「国民」とは(こうあるべき、こういうもの)、っていう、相変わらずの上から目線なんだな。「こういう国民の生活への支援」とひとまとめに考えた方がラクなのはわかるけどね。
改めて、政治と生活実感の乖離が激しすぎる。

既得権益を握った年寄りの「声」ばかりがでかくて、そう考えると完全に「世代間闘争」なのだが、こういう格好の機会を捉えて声をあげていないように見える「若者」は…みんなそれほど、生活に困っていないらしい。
父とそんな話をしていたら、
今の若者はもう、バブルの頃を知らない。つまり、今よりいい暮らしがどういうものかわからないのではないか、という話になった。
政治で世の中が変わるということがイメージできなくなったのは、当時の民主党政権の大罪だと思うんだが。

ともあれ、全国投票率52.66%。
そのうち自民党に投票した人は多く見積もっても有権者のたった3割程度でも、もう安倍総理の口からは「国民の承認を経ましたから」。
…いまや声なき声の方が多数なのに、それを拾いきれないのは制度上の欠陥だけどな。この制度、よりよく替えるべき立場にある人たちはといえば…虚しく出口の見えない堂々巡り。

さらに「俺の一票」の扱いに不信を抱かざるを得ない出来事の数々。
地方では「平成の大合併」で投票所が減ってしまい、身体の不自由な高齢者が公共交通機関のない山道を雪の中、などという困難な状況が想像できる。
全国の投票所の35%もが、20時の投票終了を待たず繰上げ終了の予定、とテレ朝が伝えた。
かと思うと担当者の寝坊により、投票所が時間になっても開かなかったところも。
投票用紙(比例区小選挙区)の説明を逆にしてしまい、誤って投票された「一票」が全て無効票に。
不在者投票を丸々、合算するのを忘れて全て無効に、なんていうのもかつてあった。
今回は、総投票数の帳尻を合わすために白票1000票を捏造、という自治体が。
そもそもいくら急な解散だったとはいえ、「選挙公報」が入手できたのは投票の4日前で、それすら間に合わなかった自治体もあったらしい。解散から選挙当日までに何日必要、といった既定は法律になかったんだろうか。

「清き一票を」と呼びかける一方で、一票の扱いのこの軽さが日本の民主主義の特徴で、ここまで来るともう、「国家的陰謀」説が出てきても、おかしくない。
投票と集計に関するトラブルは恐らく、現場にアルバイトを入れすぎちゃって、的確な指示が出せる公務員が少なすぎるんだろうけど。それにしてもここまでしても公務員だと「処分」されないのもどうかと。
したり顔の政治屋の方々でなく、各自治体の選挙管理委員会こそ、「常在戦場」であっていただきたいものだ。
外向けにばかり「おもてなし」なんていってても、肝心の国内での国家運営の根幹がコレじゃねぇ。

今回も選挙の争点は多々あれど、格差社会の拡大や派遣労働者の増加、身近な問題として考え、せめて投票に足を運んでもらえなかったのだろうか。
俺の中では「見捨てられた感」として残ってしまったのは、なぜだったんだろう。