船橋まちかど音楽ステージ

時間(と体力)が許す限り、演奏を聴くために足を運んできた毎週金曜日の夜、京成船橋駅前コンコース上。船橋市教育委員会が担当)が主催者となり、事前に登録された演奏家・バンドに、演奏するこの場所を提供している、というシステムだ。
今夜はボーカリストのハシクレとしての俺が、バンド名に惹かれて聞きたいと思った演奏がひとつ。事前にネットで調べたとおり、そもそもバンド名ではなく都内の同名スクール兼ライブハウスのオーナーとその教え子からなる3人組のユニットだった。オーナーは、名前を出せば往年の有名ボーカリストのバックバンド・メンバーだと、大きな掲示と演奏間のMCで説明があったが、俺はもちろん知らない(バックバンド名の方ね)。
冒頭からなんだか過去の栄光にすがってるようで、あまり心象はよくなかったのだが、そこはさすがにプロ。
お弟子さんの女性ボーカルによる「ハナミズキ」は、俺の好みではもっと淡々と歌うべきで、ノリノリで歌われちゃうと「青いなぁ」という印象だったが。
耳なじみの曲で通行人の関心を惹いておいて、オーナー登壇。キーボードでの弾き語りは、件の有名ボーカリストにそっくりだったのだが、俺が1人で演ったことのある曲も演奏され、フェイクされたボーカルにキーボードのリハモ・アレンジ。ここまで手を入れて初めて、スタンダード曲として人前に出せるものなんだな、と感じ入ってしまった。
もうひとりのメンバー、伴奏ギターのストロークと高いキーのハモリも、何といったらいいのか、気合が入っている感じ。
自分たちのスタイルを貫きながら、だからといって決して半径数メートル、自分たちの周りだけで歌っているのではなく、ちゃんと通行人に向かって歌い、俺にはそれが、(足を止めてくれようがくれなかろうが)確かに届いている、という場の「オーラ」に見えていた。
事実、足を止めた通りすがりの人たちの数は俺がここに来るようになって初めて、一番多かった。いつもと同じ場所での、この結果。
客に対峙する「気合」って、やっぱり大事なんだな。
ちょっと残念だったのは、市から依頼されたのか付き添いのスタッフによるPAの音量制限が厳しく、そのためかバランスが悪くて歌のうち数曲は、何語なのかすらわからなかった。

実は久々の「大当たり」で、現実は10回ほど足を運んだ経験から振り返ると、俺の記憶に残るようなバンド・演奏は数えるほどしかない。打率に例えれば恐らく、1.5〜2割程度、といったところ(1回に6バンド程度の演奏があり、俺がその場に留まっていられる時間帯はせいぜい3バンドとしても…)。
まだまだだぜ、船橋(笑)。
行政主導による文化政策の「限界」、ということなのかも知れないが、やはりこれが東京某所駅前なんかだと、いい演奏(決してウマい演奏、ではなく)にめぐり合える確率がグンと上がるわけで。

次の18時からは募集枠が埋まらなかったらしく、掲出されているプログラムも「空欄」。
これはまぁ仕方ないとして、ちょっと船橋駅界隈をウィンドーショッピングして再び戻ったところ、18:30からの何某はスッポカシだったらしく*1、現場では何の公式アナウンスも掲示もないまま、先ほどの付き添いスタッフがひとり、手持ち無沙汰であった。
演奏予定だったのは、俺の記憶が正しければ、2月に演奏したパソコン・カラオケで歌う大学生の男性ボーカリスト。あの時は確か、自身の演奏が終わってから駆けつけた知人女性に、自身のボーカリストとしての実力を省みずに「ここはダメだ」などとはき捨てていたヤツだ。
さして名を成してもいないオトコのたかが「街頭カラオケ」に、平日夕方の慌しい人の流れが止められるわけないだろーが。このときの観客はほぼ俺だけ、と「惨敗」だったはずだ。
さすがに登録を抹消されちゃったのか、その後、船橋では彼を見かけないが。

会場では、次のバンドのトランペッターがひとりで、前倒しのPAチェックを始めたところ。
他のメンバーもおいおい駆けつけるんだろうが、始まったサウンドチェックの光景が、これもラジカセでのカラオケだったもんで、帰ることにした。

なんだか久しぶりにドッと疲れたので、知り合いか余程お目当てのバンドが出る、ということでもなければ、しばらくは行かないだろうな。さすがに温厚な俺(^^;でも懲りた。

帰宅してから、季節はずれの暑さに耐えかねて、いよいよ扇風機を出した。
暑さのせいか、自分が本当は何者だったかわからないような、手ごたえがない「後味」が残った一日。

*1:帰宅してから演奏者本人のツイッターで確認できた