海の男、完全終了。

あっという間の約1ヵ月、最終出勤日。
残業を終えてロッカールームに戻ったら、すでに俺ひとりだった。
お世話になったどなたにも、ちゃんとご挨拶ができなかった強い後悔だけが残ってしまった。
「大変、お世話になりました」
そんなありきたりなことばでは、今の俺の気持ちはとてもお伝えしきれない気がした。

酷暑と極寒の現場への備え、アドレナリン出まくりなホルモンバランスの毎日、辛くなかったといえば嘘になるが、たくさんの人たちと一緒に耐え抜けたことは、確かな自信になった。パレット積み、ラップ巻き、いつの間にか猛烈速くなったガムテープ貼り…もう二度と披露する機会もないのかと思うと、少し寂しい気もする。

またしても女性中心の職場ではあったが、「紅の豚」に出てくるような、とても気持ちのいい、働き者の方々に見守られながら、楽しく仕事ができた。
短い間ながら、幾度かの(繁忙)「危機」も一緒に乗り越えてきて、涙もあったけど、いつもお互いに笑顔が絶えない職場だった。

思い返すと2013年の10月に始まった俺の「海の男」生活も、この駅からだった。体力に自信がなかった頃が嘘のように、健康にすごせた体力仕事の約2年間。
そして今、すっかり暗くなったこの駅からバスに乗って、この職場からの最後の帰宅の途についた。

本当に幸せだったんだよな、俺。

離れ難い思いと、明日への不安と。
ここでのみんなのことは、一生忘れない。
本当に、ありがとうございました。
みんなから「もらったもの」は、新しい生活ステージで、俺からまた誰かに手渡していこう。

そして明日からはまた、新しい職場、新しい生活が始まる。
再び、東京への通勤だ。