ほらねやっぱり

朝の通勤途中、これから長躯東京までの乗車前、乗り換え駅いつもの自販機で缶コーヒーを買ったら、「ブラック」が出てきた。ここでは二度と買わないことにする。
コーヒー(ブラック)が飲みたかったら、自分で淹れるわ。俺は「缶コーヒー」という(あの甘ったるい)飲み物が飲みたかったんだ。
波乱含みの、腹立たしい一日の始まり。

なんだか一日中書類にまみれていて、しかも一向に減っていかない、という妙な一日だった。
夕方になって、「御前会議」に招き入れられる。
思えば先週と同じタイミング、同じ光景で、そういえば先週内示があった勤務体制の変更を明日からに控えて、改めてこの件についてだろうか…。

「ほらねやっぱり」、の方だった。

「現状」の3ヶ月間延長。

あまりに想定外な展開に、俺も動揺しまくってしまった。
そんな中で咄嗟に尋ね返せたのは、ふたつだけ。

  • 自分のこれまでの仕事への取り組み方に、何か落ち度が認められたのか?
  • 先週とは全く異なる「結果」になった理由は何か?

まず、俺の仕事の仕方に問題があったわけではない、という回答。
ならば、わずか一週間で「約束」を一方的に違えられた理由については…これにはついに、納得いく回答がなかった。

いや、この点こそは、ちゃんと自身に納得がいくまで、繰り返し尋ね返すべきだったか。
自身の不甲斐なさへの苛立ちがつのる。
この中のいったい誰が、俺の「敵」なのか?
先週の今週だから、もし俺の仕事に問題があったとしたらこの1週間のうちで、それ相応の大きさの「問題」になっちゃってると思われるが、俺としても全く心当たりがない。

大丈夫か、この会社?
この法人に対する不要な「不信感」だけが、俺の中に芽生えてしまった。

ともあれ。
折りしも新年度を迎えたこの時期に、俺自身の生活再建計画が早くも根底から壊滅してしまった。
失望感に突き落とされてみると、手放しで期待していたわけじゃないつもりだったが、やはり心のどこかでは、これからの「新しい生活」みたいな嬉しさに、浮ついていた部分もあったのだろうな。
一度でも淡い期待をした俺がバカでした。
たとえ僅かばかりでも、今より給料が上がったとしたら。
もう長いこと穴が開いたままで、昨日の大雨でも簡単にずぶ濡れになってしまったスニーカーを、まず買いかえたかったんだ。
同じくボロボロになっている布カバンも、今の会社に出勤するに相応しい、落ち着いたものにしたい。
もう何年もただの箱のくせにアナログテレビが、部屋の一角を占有している。なんとかしなければ。
度が合わなくなって久しい眼鏡は仕事中、肩こりのもとになっているし、そろそろフレームの傷みも限界。
サスティーン・ペダルが壊れてしまったキーボードが買い換えられるのは、かなり先のことか。
それよりも、「国民の義務」たる市民税と健康保険料を、一日も早く完済、すっきりした気分で生活を立て直ししたい。なんとか今まで通りの生活水準を保ちつつ、になるだろうから、それなりに時間はかかってしまうかも知れないが。
こうして生活自体が落ちついてきたら、音楽活動のペースも以前くらいに戻せたら…。

たまにはこんな想像くらい、させてくれよ。
それほど俺の身の丈を超えた「高望み」だったとも、思えないが。

やっぱり日本は、一度死んでもらった方がいい。

先日の確定申告(年末調整)で算出した、戻ってくるはずの金額は、源泉税として既に抜かれた金額の3倍強だったのは、先日書いた通りだ。もちろん収めていない税額が戻ってくることはないわけだが、つまりはこの「差額」分が、少なく見積もっても今の俺が(昨年勤務していた)会社から丸々「人件費圧縮」という名目で「搾取」されていた、本来なら俺が受け取れるはずだった金額に等しい、ってことだよな。
春闘、せいぜい頑張ってくださいませね。大企業の正社員サマたち。
そうして「格差」はまた、拡がっていくけれど。

差し当たって今日も、これから退勤時間までは仕事に向かい合わなければならないわけだが、モチベーションがどん底で、どうしたものか。
加えて憂鬱なのは、バカ正直に先週の面談を信じてしまった俺はともかく、一緒にぬか喜びさせてしまった年老いた両親に、今日のこの顛末、何と報告したらよいものか…。

すっかり遅くなった帰宅。乗り換え駅で地下鉄を降りたら、階段脇で白髪のジジイ同士が激しい罵り合い。駅員が仲裁に入ろうと駆けつけるところだったが、さぞかし理不尽な世の中に対してのストレスが溜ってたんだろうなぁ…俺も数年後には、あんな物分りの悪い年寄りになっているんだろうか。

そして迎える現実。
明日からの3ヶ月間は、これまでより相当長く感じるものになりそうだ。
もう不動産屋からの家賃督促の電話には出たくないし、水光熱費の請求書も市民税の督促状も、見たくもない。
ダブルワークも残業もほどほどに。保険料ももう長いこと払えていないから、失効しているであろう保険証をうっかり提示しなければならないような、医者の世話になる状況は避けないと。
疲れたな、なんだか。
ある日このまま、消えちゃおっかな〜…*1

*1:以上は現代ワーキングプアの生活を象徴的に表現するため、一部にフィクションや誇大表現を含んでおり、必ずしも事実内容だけの記述ではありません。