萎縮

ここ数日、「ショーンK、学歴詐称」が日に日に過熱報道されてきた。
一部関係者にとってショッキングな事件だったことはわかるが、ワイドショーでも週刊誌でも、これほど大きく取り上げなければならない理由が、俺には未だによくわからない。
この点で、

「声優が自らの経歴で嘘をつくより、政治家が公約で嘘をつくほうが、罪が深いと思います」
https://twitter.com/snji/status/710386277716066304

に、全面的に賛同する。国家権力でも特権階級でもない個人が相手なので、どうも「弱いものイジメ」の構図にも見えてしまう。

一方、

はてブ「保育園落ちた日本死ね
http://anond.hatelabo.jp/20160215171759

に端を発した国会での議論。
俺が観ていたのは、安倍総理が2/29の衆院予算委員会質疑で、「匿名なので、真偽のほどがわからない」とかわそうとした際のものだが…一国の宰相から、国民生活に直結する問題に対することばが、これだけ?!
匿名だから、仮にも嘘だとしても、どうだったというのだろう。
世の中の反響を見れば、もはやそこが論点ではないのは明白だったんだが。これだけ多くの人たちから反響があった強い国民のことばに対して。
公人たる立場上、冷静に判断しようとしている、というよりは、終始議論から逃げ腰であるようにしか映らなかった。
どうりでこの人からは今までも、当事者たちの神経を逆なでするようなことばしか出てこないわけだ。
そういう国民感覚に敏感になれない国会議員たちから、どれだけことばを尽くした説明があったとしても、到底納得できるものにはならないだろう。

しかしこの間のヤジが、ひでーのなんの。もはや表彰をしたいレベルだった。
この程度の社会認識・感覚の人たちで、これまで少子化対策を「議論」してたわけか。
これだけ市民からの反響があったことばが、総理はじめ各議員の心に全く届いていないこの国は、既に終了している。
「あの(低俗な)ヤジ、誰だったんだ?」と、またマスコミが犯人探しをし始める段になって、慌てて謝罪、という愚考を繰り返すんだろうか。そんな鈍感な国会議員が少子化対策を議論できるとはとても思えないんだが。
と思っていたら、この切り口から取り上げたのはこれまでのところ、冒頭のショーンKさんの学歴詐称をすっぱ抜いた週刊文春(3/24号)のみだ。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E9%83%BD%E8%AD%B0%E4%BC%9A%E3%82%84%E3%81%98%E5%95%8F%E9%A1%8C
都議会ヤジ問題

のときには、あれほど連日、「犯人探し」に奔走した全マスコミが。
「報道の萎縮」はもう、俺たちの目に見える状態で始まっている。
なんだか、そら恐ろしい気分になってきた。