このまま電車で真っ直ぐ帰宅

というせわしない気分になれず、せっかくの商店街の風情をバスに乗ってでも眺めたい。たまたま止まっていた、一之江駅行きのバスに乗ることにした。
思いのほか明るいネオンが続く商店街を進む。警察署があるあたりまで途切れず続いていて、それは思いのほか長い商店街を形成していた。「篠崎街道」の表示がある道に合流すると、左手の空がどこまでも高く、暗く広がる。江戸川だ。土手が高くて川面は見えないまま、いくつかのバス停に止まっては帰宅客を降ろしていく。とても降りたい衝動に駆られる。降りた客は三々五々、右手に広がる土手下の住宅街に消えていく。家々の窓には白熱灯の明かりがともっている。バスは川を幾度か離れては、モンローウォークのように、真っ直ぐではない道で、身をよじっていく。やがて今井を過ぎ、瑞江大橋で新中川を渡ると、一之江駅前着。
その新中川を渡る際、右手の暗がりの中に、可愛らしいトラス橋が見えた。駅のコンビニで缶コーヒーを買って、ぶらぶらと歩いて戻ってみる。川筋に堤防が迫っているので、期待していた川の風情というよりは運河だ。暗い川面に、屋形船が横付けされていて、どうやら居酒屋として営業しているらしいのが気になった。「明和橋」とたもとに刻まれた橋までたどりつくと、見た目よりはがっしりとして、大きい。向こう岸に渡り、川筋の散歩をして、駅へ戻った。