PAの、音

本番で、出演者の録音用MD機がずらっと並んでいる光景は、個人的にはどうかと思っているので、いつも本番の録音はメンバーの誰かしらから、後で譲ってもらうことにしている・・・のだが、前回9月の、cure*mでの歌いやすかったモニター環境と、オモテのストレートな音は、今回俺に録音を決意させるほど個人的には衝撃的だった。リハだけ録音してみようと思った。
普段練習では、ケチってLPモードで録っていることが多いが、今回はSPモードで、リハ前に正面のテーブル上にMDを置かせてもらった。リハ終了後に覗き込むと・・・止まってますが(またか)・・・!
すべて終った帰り道、改めて聴いてみたら、おお、録音されているじゃん。ただ、MDを取替え忘れたので、前の練習の後に続けて録音されていて、SPモードにしたのがかえって仇になり、曲順どおりに流したリハは「土曜の夜はパラダイス」あたりで、ぶっちりこと切れていた、という顛末(録音可能な残り、時間終了)。
録音機の限界、というやつで、それほど普段、練習で使っているPAから出てくる音と違った印象は、録音からは感じられなかった・・・自分の演奏を(厳密な意味で)、自分では聴くことができない、というのはなんだかもどかしい。

その「土曜の夜はパラダイス」、実は急遽、差し替えての演奏だったにも関わらず、評判がよかったようだ。
当初歌っていた頃とテンポ、というか曲風を変えようとしている途上。必ずしも毎回、安定した仕上がりになっていないはずなのだが、そんな不安定さ、というかラフな感じがかえって曲にあっているのかも。人間の声って、難しいのだ。そのままではどうしても、聞き流すという風になってくれない(人はヒトの声に反応してしまう)が、さりとて音程に神経質になっているという風に聞こえてしまっても、聴いている方には心地よくない演奏になってしまうし・・・(半分、イイワケ)。
ステージ上というのは、実はかなり特殊な環境で、後で録音を聞くと「うわわ〜」となるような演奏だったとしても、その場のお客さんの反応とか、演奏者側の曲への思い入れとかが影響して、さすがに機械ほどは、クールに聞こえていないことがままある。よくある卑近な例としては、客席の手拍子にまぎれてとんでもない演奏になっていても、うまく盛り上がれたということでお客さんも演者にも満足、という結果だけが残せた、という場合(ペンギンではあり得ないシチュエーションですが)。
繰り返し聞くことが目的である録音(CDなど)と、文字通りその場限りのステージの「音」との違いだ・・・まさにステージは、お客さんと一緒に作っていくものであるという所以。