いつもの

安定した演奏に耳を傾けながら、ビール、という贅沢。
今日は歌わないからね、俺は。ついでに前回賞味して満足だったハヤシライスと散々迷った挙句、今回は高菜ピラフを注文。こちらもカリカリのじゃこの食感が、癖になりそうな一品。
個人的に最近意識しはじめた、「音のタテとヨコの流れ」を酔っ払った耳で追いかけ始めたら、魅力的なハーモニーにすっかり絡め取られていて、ついにスイッチが入ってしまったのは、「アヴェ・マリア」(カッチーニ)。
昨年クリスマスのエールハウスで、4人ステージ上での「戦い」が終わってやはりビールを飲んでいたとき、Tanto Gutsが歌っていたこの曲に耳をとられて、安堵(そう自覚された)のあまり、涙していた・・・あのときの情景が、強烈に重なってきて・・・また同じように涙が、不覚! 悲しいとか、嬉しいとか、具体的な感情ではない。自分でもなんだかわからないうちに、じわわ〜とくる。こころが大きく、動いちまった。
何を我慢してきたんだろう、何を見せないように守ってきたんだろう俺は、そんな気持ちが一気に流れ出てしまった。
実は去年のあの夜は、本当に自分が何を歌ったかすら、未だに思い出せない。
店の前の、水銀灯の下で声だしと打ち合わせをしていた、寒々とした光景だけが、なんだか他人事のように脳裏に焼きついている以外は・・・この時期どうしても、去年のアノ話になっちまうな。