それにしても、一曲目の「Let It Be」を歌ったときには、どうなることかと思った。午前の打ち合わせにホール検分を済ましていたリーダー判断で、例によってPAの返しをOFFにしてもらっていた。ホール自体の音響のよさを考えると、我々のような演奏形態では、会場から反射してくる音だけで十分。ただその、音に耳がなじむまでにちょっと時間がかかる。自分が出している生声とオモテとの音量差、ステージ上独特の音とタイムラグ、他のメンバーの声とのバランス・・・。昼過ぎにリハも兼ねて、カラオケボックスで声出し、調整した前奏部分が、結果的にメタメタだったに違いない、あ〜あ・・・。
個人的にはこうして迷いを抱えすぎたせいか、一曲目からガッツリ出せなかったことで、思いの外の緊張につながってしまい、バンド・ペースに持ち込みきれず、やや客席に呑まれたかという気分のまま、二曲目「すみれの花咲くころ」。客席の反応は、意外と好意的だぞ、という雰囲気をようやくステージ上で感じた。
最後の「満月の夕」は例によってマイクなしで。
後のウチアゲで他の出演バンドの方から、「涙していた方もいたようだ」と聞かされた。今いろんな意味で、一番ペンギンにとって大切な唄になったな、と思う。そういう歌う側の想いが少しでも共有できる場になれば、これ以上ない「生」なカタチで歌い続けている意味もあるというものだ。