譜面の見直しを頼まれた

こんなことは、もちろん生まれて初めて。
そもそも音楽に限らず、人様から何かをお願いされるなんて、そうあることじゃない。
例によって「ひとり遊び」の中でなんとか身に付けてきただけでしかない俺の知識程度で、ヒトが一生懸命書いてきた譜面にどうこういえた立場ではないんだが。
結果的に本能のままとっちらかしちゃった今回の作業手順を記録しておくのは、後の自分のためになるのではないかと(次回があるとも思えんが・・・)。

送ってもらった音源ファイルを、ためしに作譜ソフトを使って開いてみると・・・ホント、い〜い時代になりました(送信側がそういうファイル形式で送ってくれただけなのだ)。

  • ト音記号の男声パートが全部五線の下に出ちゃう(実音表記)のは、ソフト側で何か修正方法があるのだろうけど、マニュアル探し出す気力もないので、プリントアウトした譜面上に、原始的に手書き転記。ぱっと見でコードまでわかる、とはいかないが、見慣れた譜面として見られないと、「絵」的にどのあたりの音域が鳴っているのかが把握できない。調子が狂うんだよね。
  • ここでようやく、もらったMIDI音源を再生してみる。Aメロ、Bメロ、ブリッジという曲の全体構造も見えてくる。繰り返しで済む部分や各ブロックが終わる(始まる)部分の小節に二重線を引いてしまおう。ブロック分け。

そもそもが難しい技を披露しようっていうバンドじゃなさそうだし。
俺個人のアカペラ原点はやっぱり、ストリートコーナー・シンフォニーなのだ。リードとバックという構図になった場合、バックコーラスはいかに同じパターンの繰り返しだけで、リズムを紡ぎ出して演奏を楽しめるかが醍醐味だと思っている。

  • それにしても一聴して、和音の塊の上下動がとっても幅広い感じ・・・。曲にメリハリをつけようとしたのだろう、とか元歌を聞き込んで印象的なストリングスやホーンセクションのメロディに和音(対旋律)を付けようとしたのかな、とか少ない人数で効率よく和音を鳴らすためにリードボーカルの音域を逃げたのかな、と勝手にいろいろ想像、自分もかつて「通った道」だけに、苦労の跡がしのばれる。

これにばっさりと手を入れるのが、こちらとしても一番、胸が痛くなる作業。
結構いい音が鳴ってる瞬間もあったりしたのだが。
リードの音域、という話でいえば、今回に限っては、桁外れにパワフルなリード・ボーカルなので(俺じゃないよ)、まぁコーラスのバッキングぐらいでは耳目を奪ってしまうようなことにはなるまい(^^;

  • パートが接近しすぎてどうしてもグシャっと聞こえちゃう部分をつまみ出し、それぞれのパートの一番得意な「守備範囲」(まだメンバーの歌唱音域がわからないので一般的な)で鳴るように、音を束ねて直してみた・・・それでもつい、テナーの動きにしわ寄せがいってしまうのは、俺の手癖か。想像以上に楽譜の風景が変わってしまったようにみえる。

こうしてみると人間の声の守備範囲って、楽器と違ってかなり狭いもんだ。
人間、なんとなく覚えやすい音の動きというのは、長いこと歌ってくればくるほどあるもの。一方でコーラス中心に考えるあまり、瞬間になっている和音がどんなにいい音になってても、こりゃ絶対歌えないな、という音(跳び)になってしまうことがある。キーボードを使ってアレンジしている際に陥りやすい現象。

  • Aメロで2箇所ほど、どうしても各パートの重なり意図がわからない部分があったので、改めて元歌を聞いてみると、とってもカッコイイ音が鳴っている。のだが、いろんな楽器が鳴りすぎてて、構成音がわからない。こうなるといつもやるように、キーボード上でベースの上に聞こえる音を重ねていってみる。似たような音は鳴ってるのだが、それをあてずっぽうに半音とか一音とかずらして幾通りか鳴らしてみても、どうも同じ音に聞こえてこない。ここまでくると音の組み合わせだけでなく、並び順も考慮しなければならない、和音構造上の問題らしい(っつーか混声5声でそもそも、再現できるもんかどうかもわからんが)。

こういうとき、コード名がわかれば逆に、構成音がわかる、はずなんだ。
「誰かこいつに、名前をつけてくれ〜」
一時期、フュージョンなんかでよく耳にしたコードなんだけどなぁ。絶対音(スケール)が同じであの曲のあの部分、までわかってるだけに、すっきりしない。
今の俺には、ここが限界だな。

  • こうして直した繰り返すパターンなんかは、小節単位でコピー、作譜ソフトってやっぱラクだなぁ。この際原曲のイメージを借りて、曲の盛り上がりにあわせて、一部はパターンを変えてみようか、などと欲をだす。この辺は練習現場で、みんなでアイデアを出しあった方が楽しいかも。

この時点でも改めてよく聞いたら、ベースラインが当初譜面の方が正しかったりする。

  • ベースの音は半音ずれただけでコード名すら変わっちまうので、コーラスの方を微修正。

ベースラインへの思い込みから違う音が聞こえちゃう、ということは結構ある。

しかし、結果として曲の演奏難易度が高くなりすぎちゃいないか?
あとは歌う練習あるのみ、だが・・・ヒトの譜面を見ている場合か! ・・・その通りですね。