すみだジャズフェスティバル(ノミの心ぞう)

早く着きすぎたので、会場近くのオープンスペースで、練習台を使って、ドラム・ソロ部分をざっくり組み立てながら、素振りしてみた。
演奏1時間前を目処に会場のアルカイースト前に行ってみると、バスドラのキックペダルがなく、スパーを締めるチューニングキーもない、と騒然としていた。錯綜している情報が次第に整理され、どうやら本部からこれからドラムシートが来るので、その際一緒にご持参いただけるらしい、不足機材。
ほどなく届いたのはどう見ても宇都宮で懲りたYAMAHAのペダルで、嫌な予感がしたが、今回は伏兵、ハイハット(とシンバル)に、すっかりやられました。そもそもスタンドがいかれているようで、他のシンバルも総じてベカベカ薄っぺら、ジャズに肝心のバックビートが全く鳴らない。2週続けてハイハットに祟られたわけで、今回スネアは持参したがこちらのハズレ率は低く、むしろ屋外イベント等の時はハイハット(とスタンド)を持参した方が「事故」が少ないのではないかと思ったりもする。

先に申し上げておきますが、もちろん運営側に恨みごとをいうのが本旨ではありません。

本番の始まった各曲間も、英さんが持参していたコンデンサーマイクをドラム用に据えつけていただいたり、ジルジャンのシンバルが届いて(次のバンドさんの?)急遽交換していただいたり、一日目最初のバンド演奏として、本番中も演奏環境の改善にご尽力いただいていたのだ・・・しかしその都度に演奏環境が変るので、俺は先ほどの素振りの成果を披露する余裕なぞもちろんなく、動揺したまま演奏が終った。これはむしろ、俺の側のキャパシティ、応用力のなさの問題。
いっそブラシをスティックに持ち替えるなり、今までの曲構成や決め事がどうあろうが、最低限メンバーにテンポ出しがちゃんと聞こえるように、べきなかったのか。
というわけで、
演奏中は終始笑顔をこころがけたが(足を止めていただいたお客さんには、ただただ申し訳ない)、実際、もはや笑うしかない状況で、内心は(自身に対して)ヤケクソであった。
せめて歌からはそう感じ取られないよう、できる限りの神経を払ってはみたが。
加えて、ドラムの定位置は他のバンドと共用なので、ステージ・テントのセンター最奥が定石。ウチの演奏だけ前に出す、というわけにもいかない、数年前の池袋のときと同じ状況で、演奏中も客席の反応や最前列がどのような状況になっているのか全くわからず。
そのドラムが「センター・ボーカル」という、ウチのバンド独自の特殊事情。傍目には、センターでウクレレをかき鳴らしている英さんが歌っているように見えた、らしい(実際、コーラスパートを歌ってましたが)。
せっかくの屋外イベントなのに、黙々とドラムセットとだけ戦う、40分間でありました(こんな緊張感が他のメンバーにも伝わっちゃったのか、各曲ともいつもよりテンポが速く、40分を待たずして終演)。
これほど同じステージから「見えている景色」がメンバーによって違う、というのは、横一線に立っていることが多いアカペラ・バンドではあまりないことなんじゃないかと思う。

ほどなく次のバンドのドラマーがリハをはじめ、このポンコツ・ドラム上を身軽に「舞って」いて、まぁやっぱり俺の演奏レベルなんだろうな、問題は。
いつものようにひと仕事終えた達成感、どころではなく、すぐにでもこの場から消えてしまいたかったわけでした。
顔見知りの方も数名、はっきりしない天気のなか、わざわざ足を運んでくださっていて、申し訳ないやら、情けないやら・・・。