ノミの心ぞう

ドラム一式担いで乗っている中央線の車内では、このまま国分寺に着かなきゃいいのに、などと妙な気分になっていた、真司さんとの最後のセッション。
お店はいつものように満員で、もちろん客席からも異口同音に、真司さんの「卒業」を惜しむ声が。
先日の練習後、純吉さんもいっていたが、こうして一緒の演奏を終えた充実感を共有しながら飲めるのも、今夜が最後なんだなぁ(それかよ)。
その割にはここ数日、仕事がばたばたしていたせいもあり、十分な練習時間もとれず。
自身はせめて、いつもとは少しでも違う演奏を、とジタバタしてはみたものの、急に手数が増えるわけもなく、気持ちばかりで打数を多めにしてみただけ、みたいになっちゃって、後で録音聞くと、ちょっと乱暴で、なんともダサい・・・こんなことならいつも通りにしとけばよかった。
そしていつものようにいくつか、無謀な仕掛けをして、これもいつものようにあっけなく玉砕した俺、であった。
そんな気負いもあってか、のっけから妙なハイ・テンションで、しかもすっかり慣れたはずのクラスタで、緊張してんの。
演奏全体を通して、途中で集中力が切れたりもして。メンタルなペース配分が、おっつかない。
終演後、顔なじみの人たちとジャズについて雑談しているうち、このメンバーで演奏してきた経験をいろいろ思い出していた。俺が演奏を通じて、メンバーに発信できていたかはわからないが、他のメンバーからはいろいろと刺激をもらってきた、この数年間だった。
今更引き止めてもせんないことだが、もうすこしゴネてみてもよかったかな。俺自身の精神衛生上は。
まぁ今の俺には、引き止められるほどの実力は、ないわけだが。

この機会にゲスト演奏を快諾してくれた、まいたけさん。相変わらずウクレレ一本とは思えないほど、パワフルな演奏を披露してくれた。今日の上京で、なじみの楽器店店員さんが辞めるので(特注)楽器の引き取り、某ライブハウスの閉店、そしてノミの心ぞうの真司さん卒業、と三つの幕引きを、この一日で見届けることになった、といっていたが・・・そう考えると俺も、NPOハウス、中野の仕事、中央区に次いで目下4度目、ついに所属団体そのものの解散手続きに携わることになってるわけだった。
こっちは「おくりびと」というよりは、俺自身に仕事の才がないために、こういうスパイラルになっていると思われ、むしろ掃除屋、とか始末屋稼業・・・えいやっ!

今夜、一緒にこの俺たちの演奏を見守ってくれたみなさま、ありがとうございました。