サブディビジョンの活用(★☆☆定説の範囲じゃないかと)

こっちが元ネタ?(笑)


アカペラも人前でちょっとした演奏ができるほどにレパートリー数が増えてくると、全てが同じエイトビート、などということは、ありえないですよね。
テンポの速い曲、遅い曲、シャッフルやスウィングのようにハネる曲や、テンポが定まらないバラードのような曲…。
ライブなどの演奏機会では演出上(そんなに大げさなもんじゃありませんが)、間にトークを挟まないで続けて次の曲を歌うこともあります。この際に、全く違う曲調の組み合わせだと起こるトラブルが、今回のネタです。
とりわけ打楽器の伴奏やボイパ担当のいないアカペラでは、次の曲のイメージを固めないままうっかり演奏に入ってしまうと、メンバー全員がリズムにノッて息が合うようになるまでに数小節かかった、というようなことにもなりかねません。というか実際に何度かありました、こういうこと(><)
例えば、バラード曲「さくら」の直後に「Could You Believe」を歌ったら、3連系リズムである8分の12拍子が、全然前に進む感じが出ないままどんどん曲そのもののテンポまでがバラードのように重くなってきちゃって、そのまま丸々、1曲終了〜…。
それでも音程が(ある程度)あっていれば、声として出てしまったものはもう、引っ込めたり引き戻すことはできません(^^;…こうした細かいニュアンスの違いは、究極のアコースティック楽器である「唄の怖さ」です。
要はちゃんと次の曲のイメージができてから歌い出せればいいのですが、いうのは簡単、実際にやってみると元々集中力に乏しいオッサンたちな我々、そう簡単に気持ちの切り替えなんぞできるわけもありません。

というわけで歌い出す前にやっていること=曲出しカウントで、次の曲のイメージを強引につくってしまえ、というのが今回の提案。
あなたのバンド、どの曲でも歌い出しのカウント、テンポだけを変えて「ワン、ツー、スリー、フォー」にしてませんか。
曲のベースとなっているリズムを、ちょっと強調してから歌い出してみましょう。
例えばエイト・ビート(ズズチャツ・ズズチャツ…(笑))の曲なら、

 「いち と、に と、さん と、し (と)」

やっぱりカッコよく、英語がいいですかね?

 「ワン・アン(ド)・ツー・アン(ド)・スリー・アン(ド)・フォー(・アンド)」

…「アン(ド)」はもちろん「and」のつもりで(まぁ何でもいいわけですが)。
この、数を表すことばの間に入っているものを「サブディビジョン」と呼び、いわゆる「ウラ拍」を口に出して「間」を取ることで、リズムごとの違いを強調しているわけです。
打楽器では初歩の段階で、こういう風にカウントを声に出して、叩く前の予備動作を行なう練習方法があるそうです。
因みに先ほど例に出した「Could You Believe」など、3拍子系の曲ではこんな感じ。

(日)「い ち と、に い と、さ ん と、 し い と」
(英)「ワン・エン・ダ、ツー・エン・ダ、スリー・エン・ダ、フォー(エン・ダ)」

やっぱり曲の始めって、大事にしたいものですよね。

曲の始め、といえば、アカペラバンドが歌い出しの(ルート)音を取る場合、ピッチパイプを使うケースが一番多いのではないかと思います。必要以上に大きな音で吹いたりして、広いステージ上のメンバー全員に聞かせようとするのはわかりますが、ピッチパイプも「楽器」ですし、あまり強い息で吹くとこの楽器本来のいい音が出ないばかりか、よく聞くと音程も安定して聞こえなかったりします。楽器としてのピッチパイプを一番いい音で鳴らしてあげるのと同時に、この音からもう次の曲が始まっている、というイメージを持った方が、直後の演奏がよりよくお客さんに伝わるような気が、しないでしょうか…。

というわけで全く話が逸れてしまいました。
今回は、「あなたのバンド練習でも明日からすぐに使える」、ということでお気軽な話題でお送りしました。

さらに蛇足ながら、この程度の演奏上の「違和感」は、聞いてくださっているお客さんは、実は気付かない程度のものかも知れません。しかし演奏の渦中にある人間(演奏者側)にとっては、確かな「居心地の悪さ」として感じているはずです(緊張や興奮で、演奏に必要な「理性」がぶっ飛んでいない限りは…)。
そういうものひとつひとつを具体的なことばにしてメンバー間で共有していくことが、そのバンド独自の経験、貴重な「スキル」の積み上げに繋がっていきます。
あなたのバンドの現状レベルで「ベストテイク」と思われた演奏(本番経験だけでなく、練習時のものも含めて)と比べてみましょう。何か少しでも「違和感」を感じたのなら、メンバーと互いにことばにしてみることをお勧めします。
そんなこともう、とっくにやってるって?
音が違った、歌詞を間違えた、というようなことではありません。これらはいってみれば演奏時特有の「事故」という類で、互いに指摘しあっても得ることは少ないですし、何より間違えた本人が自覚しているはずです(演奏後の、いい酒の「肴」にはなりますが)。第一、「事故」というものは事前に想定し得ないところで起こるものです。同じところで起こるとも限りません(同じところで起こしちゃうこともありますが)。

今日のまとめ

  • オッサンになると、年とともにアタマが固くなるようです。
  • トシをとるとオバサンになるオッサンもいる一方、世間にはなぜかオッサンになるオバサンもいます。
  • 演奏上の事故は、想定しないところで起こるから事故なのです。