風邪と、その後

体調不安のせいか夜中も1時間ごとに目が覚めてしまい、5時少し前にはこんな状況に耐え切れず起床。予約してある新幹線に乗るためには、どうせ6時代発の電車に乗らねばならない。
家で朝食を摂ってから出るかどうかを迷っていたのだが、時間に余裕ができてしまった上に、(食後服用の)風邪薬を飲んでおいた方が安心なので、いつも通りに摂った。
ギリギリに部屋を出て新幹線車内で駅弁の朝食、という楽しいプランはこの時点で消えた。

新幹線の車内では、実は楽譜を眺める気持ちの余裕もなく、自身の演奏をイヤフォンで聴く余裕すらなく、とにかく寸暇を惜しんで睡眠。
大丈夫、だいじょうぶ…それだけの練習はちゃんと積んできたはずさ…自分にいい聞かせる。

一旦ステージに上がったら、練習では起こり得なかった「不慮の事故」にすぐ対応できる、脱力した身体と柔軟なアタマの方が、大事なのだ。

新富士駅までには一度目を覚まし、今日の演奏の無事を祈願して、富士山に向かって手を合わせる。新幹線移動でこれほどまともに富士山が見えたのって、実は久しぶりだ。

名古屋駅に着くと昼食用に駅弁を調達、11時過ぎ、順調に鶴舞駅に到着。演奏を楽しみながら食すという魂胆。
こういう生活上の段取りがちゃんと組めているうちは、どうやら大丈夫だな俺。


はい、名古屋観光終了〜。

朝との寒暖差が10度近いというこの季節。長袖に上着で、空調の効いた新幹線の中にいたが、昼前に会場の鶴舞公園に着いてみると、半そでTシャツ1枚で丁度いいくらいの快晴陽気。
にのみさんとの再会を喜び、まずは互いに「今日はよろしく」と軽い挨拶を済ませると、程なくして光法が合流。去年の会場の写真を拝見する限り、今回の会場(普選記念壇)の客席にはベンチが見えたので、ブルーシートは持ってこなかったが、会場の後の方は周囲の木々が心地よい木陰をつくる芝生になっていて、こちらにいた方が気持ちよさそうだ。映像記録でしか見たことないけどなんだか「ウッドストック」のようだ、と他のメンバーが揃うまで、KIOSKで買ってきた新聞を敷いて横になってみた。いい気分だ。

会場に着いてすぐに耳に入ってきた演奏の(オモテ側の)音は、春の演奏会場である奏楽堂よりもステージ然とした、ステージ背後に「反響板」がある構造のせいか、各パートの声がかなり分離して、すっきり聞こえてくる印象だ。今日のPAの方の音作りの賜物、かもしれない。




…はい、アカペラ演奏とは全く関係のない写真をご覧いただきました(^o^)


後で実際にステージに上がって演奏してみても、この反響板のせいか、PAに耳が慣れてからはかなり歌いやすかった。
他のメンバーが到着し始め、俺はひとこと断ってその場を一旦離れると、いつもよりやや念入りに身体を起こす。元々風邪で声に悪影響が出た経験はそんにないのだが、今日は声自体が長もちしない感じだ。声出しではセーフモードで、呼吸の方を念入りに。声は本番一発に賭けるか。こういうペース配分への考え方も、経験値だな。
ウォームアップを終えて客席に戻る途中で、手作りTシャツに着替える。いよいよ「秘密兵器」デビュー。「阿仁さん、原色似合うよね」、あまりに好反応だったので、バンドグッズ第1号として販売を検討中(嘘)。(^^;

いよいよ出演時間も迫ってきて、第2・3部の出演バンドへの点呼・事前説明に、一旦ステージ裏へ集合。
主催者代表・にのみさんから、「今日はとにかく、一般のお客様が相手」だということばがあった。
その真意、どれほど伝わっただろうか。
アカペラ・サークル内でしか通用しない内輪話は論外として、曲の紹介をするにしても、「有名な」アカペラ・バンドのカバーだと説明されたところで、プロであってもまだまだアカペラ・バンド自体の知名度は、そんなに高くない特殊な音楽ジャンルなわけで。
そんな俺の想像通り、その後もいくつかのバンドはMCで「ダダ滑り」していたが…。