+練習?


今回の出演者は学生バンドが多く、我々のような社会人バンドは肩身が狭くなるのではないかと予想はしていた*1。数年前にソラマチで、同じような雰囲気のイベントに出演させていただいたときは、我々の演奏が終わると「オッサンが、たった4人で、ボイパもなしで、声量勝負」とゆー、彼らが知っている「アカペラ」のスタイルと相当違うものに見えちゃったらしく、スタッフその他数人が感激のあまり(?)駆け寄ってきてくれたことがあった。
そういえば今回は、そういったことがなかったな。
まぁ俺たちも演奏が終わるとすぐ、数少ない顔見知りの元に駆け寄ってしまったので、声を掛けにくかったかも知れない。

それでも「ボイパなし」の演奏スタイルを、わざわざバンドプロフィールに記載しているバンドが散見されたし、名古屋ではアカペラのスタイルがそれほど狭く「固定化」されたものではなく、既に多様なスタイルの演奏に普通に接している人たちが多いのかも知れない。「俺たち」の、演奏を通じた音楽的パワー(?)が落ちていたせいだったのなら、大変遺憾な結果だが…。

とにもかくにも、演奏後はいつも通り、どこからともなく現れた(?)缶ビールに、反射的に手をつけてしまった…ありゃ。
少しでも大先輩バンド・Matrixさんたちのように、「カッコいいオッサン」に見えたらいいのだけれど…これじゃただのノンベ集団だな。まだまだ圧倒的に、「年季」が足らん。

こうしてメンバー全員が既にアルコール漬けになっちゃったタイミングで、メンバーの誰かが「それじゃ、練習しましょうか」などといいだす…確かに来週末は「ふなばしミュージックストリート」とバールデルソーレ・中目黒のダブルヘッダだが。
取り急ぎ、中目黒で初披露する予定の新曲を、メンバー間であーでもないこーでもない、と意見交換しつつ形にしていった。
公園の一角に移動して練習していたのだが、振り向くと見学者の方々が…(^^;
「これ(新曲)いつ、名古屋に持ってきてもらえます?」
すっかり顔なじみになった方々からは、我々の演奏を評して「トラディショナル・アカペラ」、「人間国宝」(!?)、などのありがたいおことばをいただいた。

さくっと30分ほどそんな練習をして、ステージ前の客席に戻った。
切なくて、離れがたい、いとおしい雰囲気が漂う、大きなイベントの、終りが刻々と近づく会場。そんな雰囲気を共有しているのか、演奏に熱心に耳を傾けるお客さんの数は思ったほど減ってはいない。
先ほどまでアタマの上にいたはずの陽は、どんどん傾いていった…。

終演後は事前にアナウンスがあったように、残れた出演バンドのメンバーで、ステージ裏に集まって、にのみさんのおことばを拝聴してシメ。何バンド残っていたかわからないが、人数だけでも結構な数だった。

俺はなんだか感極まってしまい、「また来年も、ここで逢おうね!」ということばしか出てこなかった。
風邪のせいか、身体も心も弱っていたらしいが、今日ほど演奏を通じて、いろんな人たちに支えられているという手ごたえを感じられたことはなかった。物理的な距離と時間を飛び越えて、行けばいつも同じ笑顔で迎えてくれる名古屋の方々、俺の他愛ない話や下り坂の体調に関する愚痴に耳を傾けてくれた職場の同僚やメンバー、腰痛の治療にあたってくれた整骨院の院長、どんな状況にあろうといつも遠征に快く送り出してくれる家族…。

そんなことに思いを馳せながら、顔見知りの人たちと軽くウチあがる。
数は多くないものの、演奏活動をきっかけに知り合った人たちとの中身の濃い交流。「アマチュア演奏家の矜持」、というものだろう。何度こういう場にいても、その嬉しさには慣れることがない…。

嬉しいこと、楽しかったこと、たくさんありすぎて、もう少し時間が経たないと、どこが今回の遠征の「核心」だったのか、気持ちの整理がつかないでいる。この日の「全て」を書き残しておきたい、という欲が、捨てきれていない。
実際の滞在時間とは無関係に、俺の演奏歴の中でもとても中身の濃い一日になった。

*1:決してイベントそのものでの居心地が悪い、とかではなく