ロード・オブ・宇都宮

仕事休みの日は、自分の身体にいいきかせるつもりで時間を気にせずゆっくりと、出立の準備をするものなのだが、やっぱりこれから待っているはずの楽しみに気が急いていたらしく、予定より30分も早く準備完了。あてどなく乗る予定の電車を待っていても仕方ないので、早めに出ちゃうことにした。

千葉から栃木(宇都宮)を目指すルートは、船橋からだと東武野田線*1、という手があるが、何の変哲もない住宅ばかりの景色の中、あれを長距離乗り通すというのは、どうにもあ〜、やってらんねぇ〜、というわけで、京成線を一旦上野方向へ返し、北千住回り(京成関屋=牛田乗換え)で、東武宇都宮駅を目指す。
東武鉄道では今年4月のダイヤ改定で新しく特急「リバティ」が設定されたことに伴い、俺の大好きだった、黄金期国鉄急行時代を彷彿とさせるボックスシート6050系・快速の運行がなくなった。従って去年のようにわざわざ浅草まで行く気力もなく、ああ、また俺にとっての鉄道旅の魅力がひとつ、減ってしまった(本日の東武線での乗車距離も、減ってしまう)。
それにつけても、イチ私鉄のスケール感を大きく超えた、この運行距離。
もっと煩雑にしているのが、列車種別の多さ(停車駅の違い)。

たまにこうして他所から来る俺みたいな人間にとっては、「区間準急」とか「区間急行」といわれても、そもそも「急行」や「準急」の停車駅を知らないので、わかりにくい上に意味不明だ。もうこうなったらいっそ、「区間各停」なんかも作ってみては?
しかし「区間」を標榜するわりには俊足な「区間準急」。せんげん台で、ようやく後続の急行に追いつかれたんで乗り換えたんだが、その急行は地下鉄半蔵門線の車両で、なんか猛烈がっかり、味気なし。
おまけに車内掲出の路線図(とか停車駅案内)が地下鉄のものばかりなので、行き先はわかって乗っているとはいえ、道中は全く土地勘のない場所。一気に先行きへの不安を煽られる(あと何駅なのかが、わからん)。
ここまで東武線上、運転席直後のカブリツキで目新しい景色を楽しんでいたのだが、ガッカリ感ついでにこの先は座っていくことにする。
南栗橋からはローカル色の強い各駅停車に乗り換え。
次の栗橋で、すぐ隣を15両編成のJR東北線*2が轟音を立てて通り過ぎていった。JR経由の他のメンバーたちはもう、宇都宮に着いただろうか。
こちらは同じく流行のステンレスカーだとはいえ4両で、都市社会学的には伊勢崎線*3もどうやらこの南栗橋―栃木間辺りが、両側(東京―宇都宮)からの文化圏の切れ目というか境目にあたるらしい。私鉄のイメージだとこの辺りで線路が途切れる、ということなのだろうが、東武線は関東平野のその向こう側へ、まだ伸びている。

先ほど途中駅から乗ってきて、ずっと俺と一緒に最前に張り付いてて、俺の耳元越しに無遠慮にごっつい一眼レフを構えている定年間近な感じのオッサン…え〜い、鬱陶しい。近すぎっしょ!(まぁ俺がその場からどけばいいハナシではあるんだけど)
宇都宮線に乗り換えたら別れられるかと思ったら、テキも宇都宮線に乗り換えてきて同じポジションだった(^^;

そんなに一生懸命にならなくても…だってどんなに高価なカメラ使ったって、車内からだとせいぜい、こんな画しか撮れないはずなんだが(ということで、ローカル運用に落ち延びた6050系を目撃)。


家は早く出たはずなのに、結局予定通り11時、東武宇都宮駅着。
去年も寄った、個人的に思い出の松ヶ峰教会には寄っておきたい。

初めて内部まで足を伸ばしてみたところ、ステンドグラスこそなかったが、聖堂両側のガラス窓は全てセピア色で、昼間なのに一面黄昏色が支配する、荘厳な雰囲気に身が引き締まる。



俺の他にも観光客がいたが、厳かな空気に気圧されてか、誰ひとり声を発すことのない、静寂が支配する空間。「静寂な耳鳴り」を覚えると同時に、何か悪いものが身体からじわじわと滲み出て行ったような気分になれたところで、時間切れ。演奏予定の会場へ。

メンバー揃ってカラオケ屋に。入るだけの手続きに、20分も要してしまったのは想定外。
個人的にはお付き合いしたいような「めがね女子」の受付嬢は、そうこうしているうちに俺たちの後ろから次々到着してくる人の列に、ややパニック気味でもあられたようで。
ようやく通された部屋は、なぜかフロントから一番手近の24人用パーティルーム…ただでさえ声がでかそうなのが4人も、と警戒されてしまったか(?)。
先日の「ふなばし」での演奏機会が台風で流れてしまったのは不可抗力だが、一連のスケジュールに対する緊張感が一旦途切れてしまったらしく、花粉症みたいな症状から今や恐らく風邪になってしまっている体調不良なワタシ。今日もマスク着用、喉飴大量投与でここまで辿り着き、さて大きな声ってどうやって出してたんだっけ、という心理状況だったので、いつもより強く「空ふかし」したら、何とか勘が戻ってきた。低血圧だしね、俺。
「十分声大きいよ、これと渡り合おうとするのいつも大変。」
とゆたかさんから、今日の俺のコンディション確認。
いや、俺にしたってちゃんとベース聞きながら、曲を形作ってるんだよ(笑)。
自分の声しか聞こえない、という状況にはしてない(つもりな)んだけどね*4
1時間ほどここで声出しをして、予定通り演奏1時間前にはステージ袖へ。
スタッフの方に案内してもらい、ステージ裏のテントで待機。
この頃から雨が本格的になってきて、傘がないと移動できないほどに。

*1:アーバンパークライン、などとは決して呼び変えてやらない。

*2:宇都宮線、などとは決して呼び変えてやらない。

*3:スカイツリーライン、などとは決して呼び変えてやらない。

*4:他でもない、ゆたかさんだから、このくらいまでは大丈夫…とか思っちゃうことはありますが。