台風狂騒曲。

さすがにここまで(近くに)来れば、予報どおりだ台風24号。日本の気象庁は優秀なんだぜっ。
これが平日だったらえらいことだったが、特に予定のない週末なのが不幸中の幸いで、しかしどこに遊びに出られるでもない状況。
関東では日付が変わる頃が最接近で、寝付いたところを起こされるなこれは。


というわけで(前夜)いつもより1時間ほど早く寝床に入ったものの、「全員参加」を義務付けられた気象イベント(?)に興奮しちゃったのか、なかなか寝付けず。
テレビでニュースをつけっぱなしにしながらうつらうつら。
各局とも申し合わせたように、字幕には「暴風」とあるのにアナウンサーのイントネーションは「暴風雨」、だったのは業界特有の「読み替え」みたいな不文律があるんだろうか。「暴風」だと、アクセントはほぼなし、な読み方になる気がするんだが。
それにつけても、週末や早朝・深夜の、普段テレビを見慣れない時間帯のアナウンサー・気象予報士の顔ぶれ。同じ原稿を読んでいるだけだとわかっていても、その信憑性と説得力に疑いを持ってしまうのは、何故なんだろう。人間の慣れとは不思議なものだ。
原稿しか書いたことがないだろう、という地方局のレポーター自身がカメラに写っての現地レポートも、言語化能力の差が著しくて、これはこれで興味深い。今回も、某局・某地方の男性レポーターの流暢な現地レポート力には、シビレた。
そのうち関東でも初めての試みとして、JR東日本が首都圏全線で18時頃から順次運行打ち切りを発表。他社線もほぼ、これに追随の対応になった。
JR全線の運休のほうがはるかにニュース・バリューが高いだろうに、日テレ「バンキシャ」の画面テロップではなぜか、他局が「西武鉄道」とか「西武線」とか一括表示するところをわざわざ「西武新宿線は…」「西武池袋線は…」と表示。流れ方も読みやすさを考えたのかゆっくりで、はては「西武多摩湖線は…」「西武国分寺線は…」とキメ細かく報道…しているうちに次のCMが入り、CM明けにはまた「西武新宿線は…」…東京には西武鉄道しか走っていないみたいだった(もちろん画面ではJR他の運休が、他のニュースに混じって報じられていたが)。
NHKではいつの頃からか執拗に、スマホアプリの(自社)CMをニュース内に差し込むようになった。開発にもさぞかしカネがかかったんでしょうなー。もはやスマホ自体は、国民全員が持っていること前提らしい(きっとある日突然、受信料請求に来るよ)。
「決してひとりでは行動しないでください」…これも無理ですって。

予報どおり、というか俺の想像通り、午前1時頃に経験したことのない強風で目が覚めた。
この建物自体が揺れるような、強風。
テレビのニュースを見たところで何の救いにもならないのだが、窓の外では大きなことが起こっていやしないだろうか、近所の被害が報道されていないだろうか、とテレビをつけてしまう。
俺の部屋は全ての窓が曇りガラスなので、外界の状況が全く見えない上に、風が強すぎて、とてもうっかり窓を開けられる状況ではない。
こういうときは、角部屋じゃなくてよかったかもな。
他所様からの、ハンガーとか物干し竿とか、ビニール傘とかちょっとした看板とか、何か窓ガラスにとって「凶器」になるようなものが飛んでこないことを祈ることしかできない。
そういえば何度か近くに、消防車だかパトカーだかが止まった音がしたようだったが。
台風の中心は長野県松本の上空を、時速50kmほどで通過中、とのこと。
これ以上まだ風、強くなるのか?
今回予想される最大風速は時速250km相当だと誰かが例えていたが、新幹線が通過している、というよりはその新幹線の窓(実際には開かないが)から外に顔を出して、その風の中を流されているイメージで深呼吸したら何故か落ち着いたりする。

で、浅い眠りを繰り返しているうちにいつもの起床時間、携帯のアラームに叩き起こされた。
恐る恐る玄関を開けると、向いのビルでは階段手すりの鉄柵が、みごとに曲がっている。
うちの建物のエントランスは、ゴミの吹き溜まりに。
駅に向かう商店街では、いきつけの整体院のメイン看板が、取り付けてあった建物の角の柱ごともげ落ちていて、俺が知る限りで今回、一番大きな被害。
元々ビル風が日頃から強い一角で、この辺りでは珍しい高層マンションが1棟だけ建っている。台風でなくとも風の強い日にはパトカーが止まっているのを見かけることがあるので、地元警察にも強風による事故が起こりやすい場所であることは認識されているらしい。

昨夜、運転打ち切りだった首都圏JR全線。
今朝も線路点検から始まったこともあり、俺の通勤時点ではまだ運行が始まっていない路線が多かった。
俺は東西線での混雑を避けるうちに、始発電車2本分早く出勤するようになっていたのだが、今日はみんな考えることは一緒で早めの出勤だろうから、と逆に以前の出勤時間に戻して遅めに出勤してみた。通勤経路にJR線は使っていないが、各駅停車しか止まらないような途中駅で、明らかにいつもよりも多くの人が乗ってきたりして、恐らくJR線が止まっていたので徒歩で各駅にたどり着いた人たちだったんだろう。

JRに乗り入れている東西線も当然、ダイヤが大幅に乱れていて、始発を待つ人の列がどんどん長くなる。
隣のホームのアナウンスは「このホームから中野方面への始発電車は、しばらくありません」を繰り返していた…が、「次の『このホームからの』折り返し電車は、妙典駅を発車しました」が耳に入るや否や、俺は乗り換え階段に向かって歩き出していた。
もうすっかり、「西船橋駅あるある」、だ。
状況把握ができない大多数のみなさまは、あてもなく上りホームに並んだままで。
その上りホームに「次の始発電車は階段渡って隣のホームから」のアナウンスがあったのは、折り返し電車がホーム上から見えた頃だった。
「業務連絡。8番車掌、発車準備よろしいですか?」
「…交代待ちです」
東葉高速鉄道から交代する、東京メトロの車掌がいなかったりして…現場もかなり混乱していたようだった。

会社に着いてネットでニュースを見ていたら、実家近くの「三鷹駅」がトレンド・ワード入り。
11時を過ぎても乗り換え客があふれかえっていたらしい。中央快速線が四谷での倒木により不通だとか、平走する京王線の不通も混乱に拍車をかけたらしい。その京王線はなんでも十分に点検を行わないまま運行再開したとたん、始発電車が倒木だか崩落だかに突っ込みかけたらしく、あえなくダウン。俺が東京在住だった頃は、悪名高いJR中央線に比べれば京王線は「優等生」で、その定時運行ぶりには定評があったのだが、このところはすっかり遅延・運休が多い印象…最近、悪質な人減らしでもあったのだろうか。