レストラン匠での。

したたか酔って演奏後。常連のお客さんたちとシェフが談笑している様子を眺めていた。


仕事の質が違う、といえばそれまでだが、例えば俺の誕生日なんぞに、バンド関係者、仕事関係者、その他の友人知人を合わせても、これだけ多くの人が集まってくれるとは到底思えず。まぁそういうの苦手だから、とこれまで俺の方から、一方的に謝絶申し上げてきたわけだが。
誰のエッセイだかで読んだのだったか、バーやスナックでひとり飲みながら、ここでしか逢わない、お互いに仕事も家族関係も知らない人との会話が楽しめるようになったら、コミュニケーション力が一人前だとかいう話。
匠は、もちろんバーでもスナックでもないが、多感な大学時代にそんな背伸びが少しできる、しかも脱線しすぎたらちゃんと注意してくれる安全な「オトナ」が集う場所になってるんだな。開店時にここを溜まり場にしてくれた当時の学生も今や卒業して、次代の後輩たちがこの店に集まっていて、社会人になった先輩も仕事や家庭の合間にときおり「オトナ」の立場で顔を出してくれる…。
俺もそんな「オトナ」に憧れはするが、なにせ俺にはハードルが高すぎる。
残念ながらこういう気軽に寄れる場所も俺が知る限り近くになかったし、なにより自身の若い頃はこういうところに積極的に顔を出すタイプではなかった。
こういうお店の雰囲気の一面は、シェフの性格に負うところが大きいわけだが、正直いって彼ら若者をうらやましく思う。
そっか、俺はアイツのこういうところをずっと、尊敬していたんだった。
店を構えて7年のシェフと、この間何もなかった、頑なに変わろうとしなかった俺。
学校では決して、教えてくれないこと。
このトシになっても変われなかった俺は恐らく、今後も変われることはないだろう。
そう開き直れるようなら、もっとラクになれるのだが。
こんな俺にはこれまで、何某かの「生産性」なんかあったこと、あるんだろうかね…。
最近なぜだか、そんなことばかり考えてしまう。

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記念にいただいたマグは、大きすぎず小さすぎず。
乗り換えた総武線津田沼止まりで、次の電車まで15分ほど待たされる深夜の運転間隔。
結局、自室にたどり着いたときには午前1時半を回っていた。
駅改札を出て陸橋を歩いていたら、成人男性の俺の体重でもときおり飛ばされそうな強い風が吹いていた。遠く台風25号が通過中らしい。