合同演奏会。

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ご覧の通り、「第5回八千代市内高等学校ジョイントコンサート」というらしい、正式名称。
先日のフルルガーデンでチラシをいただいたご縁で、足を運んでみた平日休み。


八千代市内5校の合同演奏スタイルで、第1部は各校の演奏、休憩をはさんで第2部は1年生合同、2年生合同、そして全員合奏という構成。
(俺好みの)リズムのキレがいい学校、ダンスやパフォーマンスが得意な学校、ディナミークなどの音楽表現力そのものに秀でた学校、ポップな曲調が得意な学校…それぞれ強烈な個性の違いがあって、どれも楽しめた。今後もそれぞれの「芸風」は脈々と受け継がれながら磨かれていくんだろうな、と思うと頼もしい。
吹奏楽素人の俺が、学校名を聞いただけでその演奏内容をイメージできるわけもないのだが、こういうジョイント・コンサートという形でお目当ての学校の演奏に加えて他校の演奏に新たに出会ってファンになる、という「広がり方」はそういうわけで、俺のような門外漢にとっては大変ありがたい。
しかしなにしろ出演者だけでも人数が多くて大がかり、ステージ上では演奏する学校が変われば楽器の入れ替えや配置も違うし、準備や運営はさぞかし大変なことだろう。今後も末永く続けていってほしいと思い、アンケートにもその旨、書かせていただいた。
しかし平日ということもあってか、以前行ったこともある、今日も出演している某校の単独演奏会では満席立ち見だったのに、今日は1階席のみ解放でも余裕で着座…今後も定期的に開催されるとすれば逆に、ゆったりと演奏を楽しむには意外と狙い目なのかもな。
各校とも恐らく限られた時間枠の中で、クラシック曲とカジュアルポップな曲の組み合わせでの演奏。
クラシック曲で要求される芸術性と豊かな表現力をちゃんと備えている学校の演奏なので、ポップな曲も安心して聴ける。
勢いだけでもっていけるポップ曲と違い、クラシックスタイルでは各楽器の音がもたらす心理的効果というものがあるので、シンバルひとつとってみても、叩く音が他の楽器の音の中で曲が要求する大きさ(小ささ)でなければならず、日頃狭い音楽室だけでの練習ではなかなかこういった曲全体イメージが掴みづらいんだろうなぁ、と愚考する。
打楽器に限っていえば、極限までデカい音を出したことのない演奏者がこういう全体バランスに配慮したつもりで出した小さい音は、自信なさげで弱気な音にしか聞こえてこないものだから難しい。
ついでに「吹奏楽門外漢」として日頃から気になっていることを以下列記してみると、

パーカッションの割り振りって、誰がどうやって決めてるの?

ひとりで忙しそうに演奏中も楽器の間を渡り歩いている人がいるかと思うと、1曲を通じて同じ楽器しか担当していない人もいる。
互いによくぶつからないよな、移動。というかちゃんと次の楽器の発音タイミングに間に合っているのがスゴイ。
兼務はパーカッションだけの「専売特許」かと思っていたら、今日は管楽器の人がピアノやハープを弾いたりと、みんな本当に器用だ。
しかし曲によってピアノだハープだ銅鑼だバーチャイムだと必要な楽器が違うこともあって、特に大きなものはセッティングも大変だよなぁホント。

演奏前に部員がしてくれる曲紹介。

「一言一句」台本があるらしいのだが、もっと若者らしくライブハウスちっくに(?)要点まとめだけにして、いっそアドリブでもいいのでは?
これもなぜか一番遠い楽器の人がMC担当だったりして見ていてハラハラさせられるが、誰がどうやって決めているんだろう。
もっとも今日は舞台転換の間に司会者(先生)が生徒にインタビューする形で間を持たせており、ひとたび演奏すれば大人顔負けな部員たちの高校生らしい素顔が感じられてほほえましかった。

「ありがとうございましたっ!」

って全員でいうんだよね、演奏終了後。
俺はこういうのが当たり前になってしまう風潮を「怖い」と思ってしまう世代なので。
これってイベント会場限定かと思ってたら…ないと不自然?
今日の第2部・合同演奏ではクラシックコンサート調に、普通に終わっていたので、ホールでの演奏なら無理にやらなくても不自然ではないかも。それとも教育現場的配慮としてはやっぱりやめられないこと、なのだろうか(もしかしてコンクールでの加点対象?)。
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最後は全員参加の、今さっき1回合わせただけ、という吹奏楽ではすっかりスタンダードになった「宝島」の合同演奏で大団円。
人数が多すぎてカメラに収まらない。
先ほどまでの各校の個性はそのままに、これだけたくさんの人たちの演奏が「ひとつ」に…音楽ってやっぱりステキだ。
もちろん部活動だけやってるわけじゃないが、若者たちと一緒にこれだけのものが創れる立場にいられる「先生」っていう職業をちょっとうらやましいと思った。
演奏内容に定評のある伝統校って、指導者にももちろん恵まれているが、生徒同士でも先輩から後輩へ引き継がれていく有形無形の多くのことや部の雰囲気、そして自らも今回のような豊かで有意義な演奏機会を創り増やしていくので、さらに演奏に磨きがかかっていくものなんだよな。
今日の演奏から得られた経験や刺激がお互いの糧となって、次回以降の各校の演奏がより、聴いている人の心を打つものになりますように。

終了後。
各校の定期演奏会のときのようにロビーにひとだかりができるのかと思っていたら、ホールの大きさに比してやっぱり客数が少なかったせいか、大型楽器の搬出もあるだろうし、どうやらそれぞれの学校ごとに散会というのが習わしらしい。
終演後の華やかな感じというよりは、すっかり「祭りの後」といった感じのロビー。
高校生じゃあ「ビールで打ち上げ」、というわけにもいかないが、ちょっともったいない気がする(いや、ちゃんと出演校の集まりはあったのかも知れないが…)。

音楽って、とりわけ生演奏は、音のニュアンスやリズム、コード進行などを通じて、演奏者と一緒に楽しむ「旅」だ。
自身の今と年末独特の空気感が相まって、曲が進んでいくにつれていろんな思いが知らず知らずにあふれてきてしまって、すっかり収集がつかなくなってしまった。
彼ら、彼女らの「この先」に思いを馳せる。
来年はどんな人たちと出会って、どれだけ豊かな人生を創っていくのだろう。
これだけ大きな規模の演奏機会は、卒業してからはそうそう望めないだろうが、音大に行かなくたって、音楽を仕事にしなくたって、どういう形であれ一分一秒でも長く音楽に関わり続けていって欲しい。
音楽は、裏切らないから。
そんなことを思った。