労災?

同僚が、ネット上の手続きで上司のパソコン(からしかアクセスできない設定)を使っている間、手持無沙汰な上司に声をかけて、書類作成に必要な過去の送付文などの情報をコピーをさせていただいた(我ながらグッジョブなタイミング)。
旧社屋の共用パソコンは、データ・バックアップ用の外付けHDDを購入することにようやく決まり、稟議については快諾をいただいたが、これって先日も社長面談で確認されたように、俺が実質上の「責任者」にされちゃった、ということか。
だから、今の安月給じゃあ、什器管理台帳の作成もネットワーク管理者も、請け負う気は全くない、とあれほどいってるのに。
外堀から埋められた感、満載。
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仕事はこの時期一段落、「次のシーズン」に向けてやや暇なこともあり、上述の通りパソコンを一時的に接収(?)されてしまった上司の口からは、息子さんの自慢話が始まってしまう。
恐らくメイン・テーマは前職の有資格士業としてのご自身の後悔話だったのだが、ご苦労されてきただけに「自分の子どもには自分と同じ仕事には就いてほしいと思ってなかった」という話の流れから、それでも「カエルの子はカエル」だったようで似たような業種に就かれて、それもかなり優秀だったらしく、俺でも名前を見知っている大手一流企業に就職、数年前には新聞に載るような大きな商談をまとめた実務者だったとか。
多分、数年前に海外リゾート地でご結婚されたという、ご自慢の息子さんのことだな。
…俺の立場、全くないなー。
っていうか父にとっての俺は、これほどまでに自慢の息子などであろうはずもない。

午後は上長からの問い合わせ内線電話がきっかけで、事後対応。
若い女性の視覚障害者スタッフが、通勤途上で白杖を車に巻き込まれて破損したそうだ。
以前は別の男性スタッフが、置いといた白杖を(意図的に)折られた、なんてこともあったが。
上司からご本人に声をかけて事情を伺ったところ、路地を曲がってきた自動車に白杖を巻き込まれたらしい。
運転手は何もいわずにそのまま立ち去ってしまったのだそうで、視覚障害のある本人はもちろん何が起きたかわからなかったのだが、近くにいた方が状況を説明するように声をかけてくれてわかったのだという。

上司が見聞きした範囲で以前にも同じようなケースがあったそうで、そのときの運転手は車を降りてきて、自分の車に傷がついていないかどうかだけ確かめて、そのまま立ち去ってしまったとか。
加害者を擁護するつもりは一切ないが、勝手な想像をしてみるに「やらかした」と思ったときに、相手が白杖を持っている姿を目にして、どうコミュニケーションをとったらいいかで混乱してしまうこともあり得るな、と思ったりする。
俺の知る限り、こういう咄嗟なときに人の本性が出るものだ。
まだまだ身体障害者と普通に共生している社会、というわけにはいかないのだろう。「異分子」なんだと思う。

今回も残念ながら労災の扱いにはならなかったが、白杖代を会社で負担する、ということで話がまとまった。
そばで話を聞いていた門外漢な俺にも、なんだか腑に落ちない。
壊したら賠償すればいいただの「道具」じゃなく、視覚障害のある方にとっては大切な「感覚器」だと思うんだよな白杖って。
日本の障害者福祉って、まだまだこの程度ということなのか。
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そうかと思えば、在宅業務が増えたことにより家のネット回線が脆弱なので、会社の経費で新たに回線を引いてほしい、とか非常識なことをいいだすスタッフへの対応、とか。
業務上大きな支障がない限り、有り得ないだろそりゃ(現に支障が出ているのなら、まずは詳細な稟議書を提出するのがスジだ)。
俺からは、会社負担で新設する以上は、業務管理上「ログイン履歴の記録とカメラの設置が不可避になるが」と進言しておいたが。

一方で政府が今回の緊急事態宣言を延長せざるを得なくなった場合、我が社としても更なる「引き締め策」が必要になるわけだが、ネット上で作業ができるスタッフはまだしも、実作業に出勤せざるを得ない現業担当者たちとの(給与)格差の問題は、まさに今、ウチの上司が頭を痛めているところでもある。
「同一労働・同一賃金」、といってしまうのは簡単だが。

今日は、「解」がひとつじゃない仕事がいろいろ発生するな。
まさに「総務課」な感じの一日だった。

ニュースでは、政府の休業補償からもれており、対象外の方々が多数発生してしまっているとの報。
俺も詳しく見聞きしたわけじゃなく、誤解があるといけないのでここで詳しくは語らないが、当事者のひとりがはっきりと「差別」ということばを使われていたのが、強く印象に残った。
一見平穏に見える社会生活の様々な場面から、格差やゆがみといった問題をあぶり出すのが社会学という学問だと、大学時代不勉強だった俺にもいろんな教授が異口同音に刷り込んでくださったものだ。
今の、上意下達しか知らない行政に、一番足りていない視点なんじゃないかと思う。