京都Voice Café(ニ日目)

起床8:30。
チェックアウトが10:00なので、全員同時刻にフロント集合、が一応のお約束。
潤哉さんも俺も、(多分遅刻への脅迫観念から)一旦は時間通り起きるんだが、それで歯を磨いたり顔を洗ったり、服までちゃんと着てから・・・また横になってたりする。俺は血圧が低いので、このようなことになるのだが。
一緒に行動すると、朝も個人差があって、面白い。
10分ほど早くフロントへ降りていって、新聞を読んでいた。
「第7回世界合唱シンポジウム」の記事が出ていた。これの開催に合わせて、街中を音楽で景気付けようというのが、今回参加させてもらっている一連のイベントの趣旨と勝手に理解している。
この後、13:30現場入りでリハ。
それまでに、女性3人の即興ユニット「ペルリンジア・ペレランドラ」*1との合同演目と、タントガッツとペンギンとの合同演目を練習しなければならない。京都駅前の喫茶店でトーストの朝食を摂り、カラオケボックスを探すも、時間が早すぎて開店していない。ようやく駅の南側に一件、11:30開店の店をみつけて、一番広い部屋を借りる。
譜面をみながら一緒に歌ってみると、本当に久しぶりに、合唱の練習のようだ。自分と同じ音が聞こえてくる、というよりは限りなく生音に近いディレイかリバーブのかかった状態で歌っているようで、気持ちいい。メンバーがメンバーだけに、譜読みはあっという間に終る。これで午後までに声が戻っていれば、個人的には上首尾。
提示されているステージ構成は、A・B/B・A、各20分程度。間にペルペレさんの演奏が入る。こういう場合、伝統的にして公平、神聖な手続きとして、どっちが先に演奏するか決める方法は、ジャンケン・・・結果、タントガッツがBを、ペンギンはAを取ることとなった。
リハ時間に少し早く、京都駅からタクシーで会場入りした。ご挨拶もそこそこにリハーサル。今日の京都は、曇り時々雨。北部の方では大雨注意報が出ているが、ここらはそれほどの雨ではなく、却って昨日より涼しくて都合がいい。
東山五条の交差点近く、ギャラリーカフェふじひらは、清水寺入り口に程近い。いままでに見たこともないような沢山の陶器が並ぶ、大きな窯元らしい。階段にまで並べられた陶器に、上り下りの都度かなり神経を使わざるを得ないが。吹き抜けになっているコンクリート建物のここでも、PAを使わない判断。実際のところはちょっと音量不足だったかもしれない。他方「声の力」という趣旨からすれば、やはり機械を通すよりも、生声に耳をすましてもらいたい、という気持ちもある。
やっぱり疲れていたのか、無我夢中な演奏になり、何をしでかしたか憶えていない。
のっけからタントガッツとの合同曲で、慣れていないことによる痛手を実感するほど、久しぶりに緊張したのが尾をひいてしまった。いくら楽譜を見たって、音を外さないという保障にはならない。
ようやく一回目最後の曲、「魔法の黄色い靴」で大声を出したら、勘が戻ってきた気がしたが。
実はそれくらいしか、憶えてないのだ。
ともかく2日間にわたった俺の禁酒が、これでようやく解ける。
3階で、参加者みんなで打ちあがったのはいうまでもない(実は昨夜も、飲んでなかった)。
ビールが超、ウマウマ。
一息、酔いをさましてから慎重に(!)階段を降り、後ろ髪引かれるが、キリのいいタイミングで帰途につくことにした。また1−3−5(パート)の組合わせ。
とはいえ切符を抑えた新幹線の時間までにはまだ間があったので、折角だからゆたかさんがお気に入りの鍵善良房なら、これから歩いても間に合うだろうとあたりをつける。

歩きながらちょっと覗き込む露地もどこも、京都の風情。
東山五条の交差点を左折北上して、右手に八坂神社のある四条通りでさらに左折。そのまま四条通りを西に進むとほどなく鍵善良房本店。なんとか日祝営業の18:45までに、滑り込めた。

名品のくずきりと、「おうす」と呼ばれる抹茶、それに竹の筒に入った水羊羹をそれぞれ注文。すっきりした甘さの水羊羹。歯ごたえのしっかりしたくずきり。どれも噂にたがわずすばらしかった。個人的には疲れていたせいもあるのか、大きい器に顔を近づけたときの抹茶の、えもいわれぬ柔らかい香りがツボだった。
なるほどゆたかさんが、ぜひ立ち寄りたいというわけだ。
ほどなく閉店時間となり、俺は会社へのみやげに、「京鹿の子」を購入。

次は俺が、テツとして京阪電車をリクエスト。まだ観光客でにぎわう商店街をひやかしながら四条駅まで歩き、緑の濃淡色がセンスを感じさせる京阪電車に初めて乗った。ドア部分上部の、つり革のつけ方が独特。全車ボックスシートで、このまま終点の淀屋橋まで乗っていきたくなってしまう。
二駅先の七条駅で下車し、テレビでよく見る七条大橋から鴨川沿いに、京都駅を目指して歩く。ああ、京都に来てるんだなぁ俺。京都タワーが照明に彩られている。周囲はもうかなり暗く、ゼッタイも一度来るぞと心に決めて、写真を撮るのをやめた。
京都駅では、車中用の夕食の確保とおみやげ探し。ビールがツキモノ。
時間が遅かったせいか、弁当は柿の葉寿司しか入手できなかったが、これももちろん、おいしかった。
歴史探索もいいけど、期せずして「京都の今」を体験する結果となり、この次に京都で寺社めぐりをしても、ただの観光旅行とは違った見方ができるようになっているのではないかとの期待感いっぱい。
これでいつ彼女ができても、京都案内は大丈夫・・・(自爆)


追記)
こうして帰宅後に文章を書いていても、なんだか自分の身におきたことだというのが信じられなかった。いつもの自分の見慣れた部屋で、東京の猛暑の中にいると、真夏の夢をみていたような、慌しさだった。
そういえば帰宅途中に潤哉さんから、メンバー全員あてにメールをもらっていた。
「ふじひら」で聴いていてくださったお客様がわざわざ、潤哉さんたちが降りてくるのを待っていて、便箋に毛筆でメッセージを書いたものを手渡してくださったという説明。
終演後に、「さすが京都だよね、一句ひねっているひとが客席にいたようだった」とタントガッツの香菜さんがいっていたっけ。
添付された画像ファイルは、俺の携帯側の画素数が荒くてよく読めなかったが、「夢」の字だけははっきりと読めた・・・この暑さのせいで、涙腺が緩んだか。今日改めてこれを眺めていて、なんだか目頭があつくなってしまった。
真夏の夜の夢なんかじゃ、なかったんだよな。

*1:イベントチラシの紹介文には、「誰も知らない土地、PERLYNNSIA PERELANDRAに伝わる音楽が。演奏するのは京都=地球に在住の女性3人による新ユニット。ムックリアイヌ口琴)・テルミン・ナルモノ・・それにどこか懐かしく、また未来へと心ゆさぶられる「こえ・うた」の不思議な世界」とあった。