歌い手として想定できる範囲では、最悪の事態。

これほど長い間、歌詞がすっ飛んだことは、いままでの歌唱経験でも、かつて一度もない。
2番まるまる、歌詞が出ないままの、すっとばし(><)
これは車の事故に例えると、左右のヘッドライトが「こんにちわ」しちゃってるくらいの破損状況。
いや〜な予感は、あったんだけどな、昼の練習の時点から。
だいたいが小学生以来、通信簿で「集中力」がAだったことなど、一度もないわけで。
音楽らしきことを始めた中学時代から、辛うじて音楽を通じてのみ、人並みでいう集中力らしきことが身についたクチだ。
それでもやっぱり、懸案事項を2つ以上抱えてのステージでは、意識散漫、集中力がもたないのでした。
こうなるともう、「クソ」がつくほど真面目な自分に、ほとほと嫌気がさす瞬間である。
何より遠方から足を運んでいただいたお客さんたちに申し訳ない、という気持ちが先にたつ。次に思うのが、そんな歌い手を最後まで暖かく見守ってもらえることのありがたさと、自分への情けなさやるせなさ。
そうなるのが何より嫌だから、一生懸命練習するというスタンスがあるわけで(練習嫌いですけど)。そもそも納得いかないと人前では歌えない、という小心者なのだ。
それにつけてもようやく3つ、ステージを終えてありついたビールがまずいこと。
うまいときのビールは、本当にこれがビールかという味がするもんだが。今夜のビールはどこまでいってもただの苦い、ビールである。こういうときはたばこの方がうまい、というぐらい。


「事故」直後の控え室で、メンバーそれぞれからのことばがまた個性があって…ありがたかった。それぞれの今までの、確かな人生経験、みたいなものが現れているようで、メンバーの個性が豊かだというのは、それだけでもう救われた気になるものだ(俺が逆の立場だったら、どんなことばをかけただろう)…何をひとりで焦ってたんだろう、俺は。
そんなみんなに心配されたほど、強烈に後ろ向き、ということでもなかったんだけど、問題は、個人的にトラウマになるなぁこれは、という感じで。
直後にステージに上がるのが怖かったこと、怖かったこと。
そんな自分への、毎度毎度の教訓はこれしかない。
「勝つと思うな、思えば負けよ」
…こうして歌い続けている限り、まだまだいろんなことがあるんだろうなぁ。
赤っ恥をかく場面だってまだまだ、あるはずだ。現実の自分は全然、カッコよくなんかないし、ましてや何かのヒーローであるはずもない。そもそもステージをそういう場だと誤認していること自体が、今の自分の限界だ。
今年はもう少し、いろんな意味で「おっきな歌い手」を目指そうぜ、俺。