×3本勝負

先日の練習、にも関わらず、まさかにあんなに緊張するとは思わなかった、「キミバラ」(君は薔薇より美しい)。以前、まさに同じこの場の本番で、歌詞がまるっきり飛んだアレだ。こうなると完全にトラウマ。事故現場でもあるこの場で、今日なんとしても克服しなければ、格好の機会ではあるものの、荒療治覚悟。結構知らず知らず、心的エネルギー使っちまう。そんな名誉挽回の機会があるということだけでも、ありがたいことだが(もちろんお客さんは同じ方々ではない)。
その客席は、遠方からトリさんご夫妻、ゆたかさんのご親族の方々がおいでくださったのを除くと、大半が一般のお食事客それもそこそこ満席状態。前回とはまた客層が異なっていて、知っている曲名がコールされると反応があったり、会話も演奏も楽しんでいただけるという意味で、質のいいお客さんばかりだった。
それでなくても今夜、1stは、日本語レパでも比較的、耳慣れた曲たち。2ndはなんと、オール男声リード曲、そして3rdは、全曲英語歌詞、という実験色趣向。
新曲(And I Love Her)では同様に、歌詞とびが怖かったけど、この期に及んで意外に冷静な自分(のアタマ)に、むしろ「キミバラ」ほど不安にはならなかった。こういうときはまぁ、えてして大丈夫なもんだ。段々と自分の扱い方がわかってきたか。こういうのを経験値というのだろう。記憶力は今後、年々衰えていくはずだけど(最近、人の顔と名前がどうも・・・)。
意外な反応としては、「Java Jive」のソロ部分で、一斉に客席の耳がこちらを向いたか、と思われる手ごたえを感じた瞬間があった。歌っている本人は、なんだか「へー」って感じだった。そのままウクレレが、エンディングのフェルマータで、まだ音が出ているのに拍手をもらったりしてしまう。
本番前のステージ袖では、気持ちが緩んでいることが多くなったけれど、ステージに上がった最初の一声というのは、相変わらず緊張しないで済むわけがない。ただ、慣れたというよりは、必要以上にカッコをつけるのを止めよう、と思うことにしたら、緊張がいくらか軽くなったような気がする。肩に力が入っているときはだいたい無意識に、最初の一声だけでカタ(?)つけちゃる、とか思っちゃってるみたいで、これからの数十分、全体を通してカタをつければいいんだ、とある程度自分を突き放す、というか気持ちを逸らすと、巧くいくような気がする・・・。
それでも緊張というやつは、不意にどこからともなくやってくるもんだけどね。自分のソロになった途端に、一斉に注目を浴びたりとか・・・そもそも、こんなにも緊張しぃなのが、ほかでもない自分なんだから、仕様がないと開き直る。練習でやった細かいこと、ひとつひとつを思い返して・・・なんて思っても、多分固まる。お客さんの反応あってこそ、毎回演奏内容も変わってしまうから、練習の場でカラダに刻み付けられなかったことは所詮、(特殊環境である)ステージ上でできるわけがない、と悟りの境地(?)。
逆に演奏そっちのけ、会話に夢中で、明らかに聴いてもらえてない環境だと、なんとしても「こっち向け、コラ!」モードになるんだから、ホント勝手なもんだよ、演奏する側も。