FAN2011

すでに熱心に耳を傾けているたくさんのお客さんと、どうやったら一緒に楽しめるか、それこそ各バンドが真摯に工夫を凝らしているのが手に取るようにわかる。もちろん、その場でうまく運ぶことばかりではないが、果敢にチャレンジしている、という演奏レベルの高さ・・・。
客席も朝からかなり盛況な状態で、俺たちのように、結果的に最初から最後まで通しで観ていた方々も、かなりの人数にのぼった。自らがアカペラを演奏する人たちだけでもなさそうで、本当に音楽の好きな方が多いといった印象。
また、遠方の地まで来たというのに、顔見知りが少ない俺でも結構、知り合いがいたりするのも、うれしい限り。アカペラ・イベントとして着実に評価を得てきている証だろう。

ここでもボイパが「標準仕様」になっているらしく、そもそも4人というバンドも俺たちだけ、ボイパなしが3〜4バンドと、劣勢。
さすがにこのレベルになると、ボイパが入っているのにリズムがよれる、などという初心者的なバンドはひとつもなかった。裏を返すとアカペラ・スタイルの演奏の場合、リズム感がよく聞こえる演奏はそれだけで多少の傷は目立たなくなる、ということか。
今の若い人たちのリズム感は、すごいねぇ(若いヤツみんな、リズム感がある、ということではないらしいのだが)。
まぁ、今はネットでもライブでも、(プロの)お手本が多種多様だからなぁ。とオジサンはやや斜に構えて、うらやましく眺める。
しかし一方で、せっかくボイパが入っているのに、どーしてこーもみな同じリズムになっちゃうんだろう。簡単にメドレーができちゃいそーだ。ボイパが入っているからこそ、いろんなリズムの曲(アレンジ)が、もっと自由にできると思うんだが。
と、誤解があるといけないので
この部分だけ取り出すと、出演バンドが没個性だったのかと思われるかも知れないが、決してそういうことではなく、むしろひとつのイベントでこれだけ幅の広い個性のバンドが揃っているのには、俺もびっくりしたクチだ。実力のあるバンドが多い、それだけに残念・・・。

その中で僅かにでも演奏レベルに差がつくように見えるとすれば、コーラス隊といえど(恐らく緊張から)個性を殺して立っている人がいるとこは、やはり演奏全体として見劣りがしてしまう。別に「踊れ」、といいたいわけではない(俺も無理)。普段の楽しいメンバー同士の交歓(練習)を、本番でそのままお見せできるだけで十分楽しいと思うのだが、それには一(バンド)対多(客席)ということもあり、それなりの「気力」が必要になる。やはり客席は、そういう意味では「対峙すべき存在」ということだ。
逆に全員がリードを交代で取れるようなバンドはやはりそれだけで演奏自体のイキがよく映る。ひとりひとりの自然体なキャラクターが伝わってくることで、客としても一緒に、CDのような完成された(だけの)音ではなく、一緒に盛り上がる「生」な演奏を楽しめるわけだ。
リードだけが頑張っていれば、自分たちは脇役、みたいなことは少人数のアンサンブルでも、それ自体演奏効果の障害になりうる、という厳しい現実・・・これこそ、俺が今現在、合唱というものに関わらなくなった理由でもあるのだが。

全体を通じては、このように充実した演奏内容のバンドを一日中観ていて、久しぶりにいろいろと脳内刺激を受けた。長かったけれど、自分がずっと演奏していたわけでもないのに同じくらい、とても充実した時間だった。
今後の自分たちの演奏に、どんどんフィードバックしていきたいなぁ(「結婚相談所」ネタは無理だけど(^^;)。