すみだジャズ、2日目。

俺はひとり遅い「夏休み」ということもあって、実家へ戻る途中に寄り道することにした。Matrixさんの演奏は久しぶりに見ておきたかったし、その会場が銭湯「大黒湯」というのも興味津々。

しかし出掛けの家事にいつもより手間取り、予定より部屋を出る時間が大幅に遅れてしまった。
京成線1本、乗り換えなしで押上へ。

京成線はかなり早い時期から都営浅草線との直通運転を始めているはずだが、押上駅はやはり地下鉄の駅とは微妙に使い勝手が違う。たくさんあるうちのどの出口を出たら一番演奏会場に近いのかが知りたいのだが、「スカイツリー」内の案内図ばかりで、地下鉄の駅であればまず必ずといっていいほど目に入る周辺地図が、俺の目にとまる場所にはなかった。
スカイツリーに行く客、ばかりじゃないんだよ。
そういうノウハウは、積み上げてこなかったらしいな〜。
何しろこっちは遅刻確定で、それでなくとも気が急いているので業を煮やして地上に出てみたところ、スカイツリーの正面。ここでやっと、自治体が設置したと思しき案内板を発見した。
そういえば「すみだジャズ」のパンフレットを配布している姿も見かけなかった。
京成橋を渡り、大通りを南へ。汗だくでそろそろ心細くなってきた頃、「すみだストリートジャズフェスティバル」会場の黄色い幟が見えてきて安堵。10分ほどの遅刻で、Matrixの演奏はもちろんもう始まっている。

今日は女湯側が会場で、この後すぐ銭湯としての通常営業を控えているので湯船には満々と湯がはってある。お客さんはカランの前と脱衣場側から…って、写真の通りの状況。演奏環境としては、かなり厳しい。というかサウナですなこりゃ。


何度拝聴してもジーンとしてしまう「心を込めて花束を」が聴けて大満足。俺としては初めての「クスリ・ルンバ」も、いや〜、楽しかった。Matrixさんのこの路線、不滅。こうして思い立って聴きにきたら、そこに変わらず楽しませてくれる演奏があるってことが、なんだかとってもすごいことだな。


次のジャズバスに乗りたかったので、後ろ髪ひかれつつも早めに会場を後にした。

ほどなく到着したバス「かいしゅう号」は京成バス(もう一台は東武バスだった)。時間帯のせいなのか運行区間なのか、俺の知っていたジャズバスのイメージ(何年前だよ?)とは異なり、結構な混雑ぶり。
演奏していたのは鍵盤ハーモニカのトリオ(+ギター、スネアドラム)
で、近づいてくるバスからは既に、扉の隙間から洩れ聞こえる音楽が…日頃聞こえるはずのない所から生音が聞こえてくるって、それだけで何だかワクワク、楽しい。

てっきり通常の路線バスそのまま転用だろうと思っていたら、車中の広告スペースが全て「すみだジャズ」のポスターに貼り替えてあって、心憎いばかりの準備作業には頭が下がる思い。
どこかとぼけたようなほのぼのアコースティックの楽器音を耳にしながら、カメラに収まりきらない大きさのスカイツリーと古い佇まいの商店街が同居する車窓を眺めていると、なんだかとっても、この街にはスウィングがぴったりだな、という気分に。
この「会場」、すみだの中ではライブハウス会場と同様にクーラーが入ってるのもGood。
来年以降の参考までにJRA前のバス停がどの辺なのか知っておきたかったのだが、打楽器セッションの音が耳に入ってしまい、ひとつ手前で反射的に降りてしまった。トリフォニーホール伝いに駅まで歩く。この間にも数箇所、演奏会場があって、ゴスペルやフュージョン(大好物!)の演奏が行なわれていた。ドラム、かっけーなぁ。
以前自身も演奏したことのある、赤いオブジェの広場では、The 音楽部(某社の音楽サークル、らしい)の演奏が丁度大団円。いやー、いいもん聴けた。

ここまで無計画にブラブラしただけだったが、結構おなか一杯。
お目当ての演奏をライブハウスやホールにわざわざ聴きに行くのと違って、これだけたくさんの演奏会場があるともう展覧会と同じ。まずざっと全ての「絵」を見てから気に入った絵に戻ってじっくり味わう、というような方法論を展開しないと、それなりに効率よく楽しめないんだなきっと。(異性の)連れを伴って、などとやっていては、肝心の機動力が削がれるでしょそこの二人連れ(僻)。

天気は昨日よりはよく、これなら昨日のような夕立もなさそう。
昨日は自身の出演だけでなく、開催協力にも事前に手を挙げていたのだが、幸いボランティアの手は足りていたようなので、当日ステマネさんと相談の上でステージの撤収のお手伝いだけ、させてもらうことにしていた。ウチアゲを終えて会場に戻ると、あの全国ニュースになっていた雷雨(大嵐)の状況。二子玉川では花火大会が中止になり、ポールへの落雷で9名が軽症、というヤツだ。
俺たちも相当、ヤバかったんじゃないの? あの状況。
ずぶ濡れで帰宅した後になって、無茶しちゃったかな、と少しぞっとしたものだった。