Merry SAMX!

▼なんか違うのが、混じってますが(こっちが本性?)

そういうわけで迎えた、大学合唱部の演奏会当日。
実際に演奏を聞くまでは失礼ながら、さして期待もしていなかったわけですよ。一面の曇天。
現役生が定期演奏会にしつらえてくれたイベント枠、くらいにしか。
曲ごとに歌うメンバーと歌わないメンバーがいちいち出たり入ったりするんだろうなやっぱ。
関係者が多い客席からは暖かい反応もあるかも知れないが、現状ちょっと距離を置いている俺にしてみればサムい光景だなこれは…くらいのことを想像していた。
しかし、実際には全くそんなことはなく、出演メンバー全員が全曲制覇、したらしい。
すみません、どうやって自分のモチベーションを会場まで持っていったものか、割と必死だったので。
いつもの週末同様昼食の後、近所の公園で1時間ほど「ひと叩き」してから、「あ、時間だ」という感じで自らも欺きつつベンチから腰を上げたら、思いのほか簡単に現地にたどりついていた。
自分の脳みそとはいえ、次の行動に移す前に色々理屈を考えさせないようにするのがいいようだ。

一曲目は、かつて男声合唱団として発足した当時の曲を、男声メンバーのみで。
さすがにやや緊張した音に聴こえて、どうなることかと思っていたものの…2曲目から女声が登壇。
女性が尻に敷いてくれると、男性がやる気出す、というのがやはり日本社会の縮図なのか(笑)。
やわらかい和音が心地よい演奏が続いた。
周年記念演奏会の割には、ステージ上は見た目思ったよりかなり若い印象。
まぁ現役生も混じってくれているわけだが。

右最上段角に、なんかひときわもじゃもじゃなのが見えてますが*1

とりわけ今日の俺的名演は、武満徹さんの「うた」から「死んだ男の残したものは」。
この曲は俺が大学に入ってすぐの、冬の定期演奏会で歌った曲でもあったが、今の俺の目に映る世界は、当時には想像もつかなかったことになっていて、ことばにならない。
自称先進国を名乗る某巨大国の大統領とやらが、それまでの歴史認識や先人たちが文字通り血のにじむような努力で得た絶妙な権力バランスから一切何を学ぶこともせず、功を焦ってか中東がどーとかいいたい放題いってしまった。こんなことで何の罪もなく、ただつましく暮らしていた現地の人々がいったい今、どんな状況に呑み込まれてしまったか、そんな世界情勢の中でこの曲を聴くことになろうとは…恥ずかしいことに、なぜか不意に出た涙が止まらなくなってしまって困った。
これだけ大人数の男女の声を束ねて一斉に歌い上げられると、やはりその迫力はすばらしく、これは「合唱」という形態でしか表現できない音だろう。

続いて先代の、というか俺の学生時代の先生の指揮までが拝見できて、個人的にもかなりお得な内容*2

それにつけても、こんなにちゃんと事前練習を積み上げてきたんだったら、受付に置くのはアンケート回収箱よりはカンパ箱、それよりいっそ100円でもちゃんと入場料を取った方が、演奏する側の覚悟的にも、来場客の立場としても、よかったんじゃないだろうか。
これだけちゃんとしたものを創るために、もちろん元手も人手もかかってるわけだし*3

しかし、嫁が子どもが、という同窓会特有の「場違い感」にはこれ以上耐えられそうになかったので、「社会学フリーライダー」な俺は、終演と同時に失礼することにした。
これは誰が何をどうした、ということではなく、完全に俺の側の、感受性の問題だ申し訳ない。長い歴史上、もはや顔と名前が一致しない先輩も多いしなー。
しかし、先生、先輩たちの元気なお姿を拝見することもできて、聴きに来てよかったホント。
(逆に今更ながらこの場にお姿がないことで、個人的にボイトレで大変お世話になった先生が若くしてお亡くなりになっていることも、改めて重く認識したが)

往路は所用があったので別ルートだったのだが、千葉への復路は都営地下鉄新宿線をチョイス。急行に乗り合わせたが、これが地下区間でも容赦ない飛ばしっぷりで、いい演奏に出会えた幸せ気分に浸っていたかったのだが、なんだかものすごい勢いで現実に引き戻された気分*4
今頃はうまい酒、飲んでんだろうなぁ〜、ウチアゲ。

*1:知る人ぞ知る、いっぽくんです

*2:しなやかな膝の動きがポイントです…なんかとっても懐かしい

*3:カンパ箱、ちゃんと置いてあったんだったらゴメンね

*4:明日からどとーの年末3日間が…終わんなければ4日間:仕事