「ブラタモリ」的にはまず札所19番・龍石寺に寄るつもりだったが、寺の最寄駅、大野原ひとつ隣駅で、電車に乗ったからには早々には降りたくないテツ魂。
こちらは夕方になってからでも大丈夫、と自分にいいわけして、まずは一気に上長瀞まで乗り通す。
長瀞駅のひとつ手前、上長瀞駅で降りたのは、荒川橋梁と埼玉県立自然の博物館に立ち寄るため。
ここから長瀞駅までのひと駅は、荒川沿いの散策を楽しむつもりだ。
河原に降りる「前庭」には、ケヤキの木を取り囲むようにみごとな紅葉。
紅葉の景勝地で知られる「月の石もみじ公園」はこの少し先だったらしいが、俺にはこれだけでお腹一杯だ。
「埼玉県立自然の博物館」の周辺も、みごとな色づき具合で退屈しない。
さすがに腹が減ったので、人混みを避けて一旦河原に降りる。
観光地図には「虎岩」とあるのだが、これも本当は少し先にあったようで。
どうにもお仕着せの「観光地」にはご縁がない性分。
荒川橋梁近くの大岩に腰をかけて、秩父ベーカリーのパンをいただいた。
しかしこの岩の模様、見ているだけで地球悠久の歴史を感じられる。
ときどき思い出したように電車が鉄橋を渡っていく。
ちゃんとしたテツ(?)だったら、鉄橋の向こう側に行ってカメラを構えるところだろう、真逆光。
俺は昼食中なのをいいわけに、この岩の上から腰を上げようとしないのだった横着者。
そして時折音もなく、長瀞名物「ライン下り」の木造船が川面を滑っていく。
因みに乗船場は、上長瀞の更にひとつ手前の駅、親鼻が最寄り駅らしい。
「哲学の道」と名づけられた川沿いの道をゆくと、ライン下り一番のクライマックス「小滝の瀬」の先から、有名な「岩畳」が始まる。
対岸の大岩断面が「秩父赤壁」と呼ばれる断崖で、こちら側の岸が断層を境に沈降してできたものらしい。すごい地球の力。
低くなった溝を水が流れて荒川になり、更に幅の広い淀み「とろ」が下流に向かって長く続くこの場所を「長瀞」と呼ぶようになった。
賑わう「表参道」岩畳通りを遡って、お洒落で小ぢんまりとした木造駅舎の、長瀞駅へ。