新しい歌。

実は数ヶ月も前の話。
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それでなくともこのところ、職場での気疲れのせいか夜寝付きが悪く、今夜こそは早く寝ようと思っていたのだが、ネットの公式HPで前から気になっていたofficial髭男dismやあいみょんRADWIMPSや菅田将揮なんかの、名前だけは聞いた事のある流行り歌を検索し出したら止まらなくなってしまい、気付いたら日付が変わってた。


そっかー、CD買えばいいんじゃん。
と思ったら発売日前だったりで自分の気持ちのもっていき場がなくなり、ジタバタ…随分長いこと、音楽に対するこういう気持ちから遠ざかってたなぁ。
自身も未だに音楽活動を続けているというのに、こういう音楽的な刺激を受けていなかった。
すっかり忘れかけてたよ。

新しい歌、といえば。
小田和正さんの「クリスマスの約束」が今年、復活するらしい。
記念すべき第1回の放映はもう10年以上も前のことだったと思うが、練習風景を追ったドキュメンタリー映像では、新しい歌のことば割りにとても苦心されている様子が放映されていた。
そう、しばらく聴かなかった新しい歌はどんどん「進化」していて、技術的な点だけみても節回しや歌詞がどんどん難しくなっている。
こういうものも進んで取り入れていけなくなるようではもう、俺自身の音楽に対する感性が年齢相応に「死んだ」ということだろう。
時代に受け入れられた新しい音楽を「進化」と捉えるなら*1、歌う側の人間としては、そこに少なくとも常にアンテナ張ってないと。

まだまだ頭の柔らかい、というか常に感性を磨き続けている小田さんは恐らく、敏感にそう感じ取られていて、だからこそあれだけの苦労を背負ってまで、若い後輩たちの作った癖のある節回しを全部、ちゃんと自らのものにされていた。
例え曲は古いものであっても、演奏するのは現代の我々で、客席で聞くのも現代の人たちだ。その方向性とか組み立て方は現代的でないと受け入れてもらえない。
時間の波に洗われて残ってきたスタンダード曲はどこに出しても安心なものの、当時のままの演奏スタイルだけではやっぱりこちらの表現力が早晩手詰まり、マンネリに陥ってしまう。
名だたるプロも含めて、そういうオッサンバンドなんて枚挙にいとまがないだろ。
アカペラ・バンド同士でライブをやると、アレンジこそ違うものの曲が被ってしまったり、同じような曲が延々と続くのも、もううんざりだし。

「進化」といえば。
少し前に、世界を舞台に活躍されているメイクアップ・アーティストがラジオで話されるのを聞いたのだが、これから先、長く創造的な仕事を続けようと思っているのなら、若者にこそ評価されることを恐れてはならない、という。
日本では超少子高齢化が続いているとはいえ、同世代から上の同業者はどんどん淘汰され、減っていくのは自明の理。自身の加齢とともに、年下層の方がどうしたって多くなる。
既得権益というのはどの世界にもあって、つい年長者や評論家にいい顔をしたくなるが、これも同じ理由で早晩手詰まりになる。
それよりも感覚が新しくて瑞々しい若者からの評価こそ気にするべきなのだ、という主張。
俺自身の経験に鑑みても今のところ期せずして「その通りかも」という気がしている。

今の俺はテレビを見ない生活になってほぼ1年だが、時折偶然ラジオで耳にする、冒頭述べたような流行歌との出会いと衝撃を思うと、お気に入りでずっと口ずさんできた山下達郎崎谷健次郎も、急に色あせて感じられてしまい、明日江戸川に行っても何を声出しに歌おうか途方に暮れてしまったりするものだ*2
共感できる歌詞はどんどん新しくなっていて、斬新なコード進行がもたらす心的効果もより刺激的に移り変わっている。
当然、すぐ自由に歌いこなすまでには到底至らない。

まぁ実際のところは、「何でも歌える」というのはスゴいことのようで、実は聞き手に何の印象も残せなかったりするもんだが。
器用貧乏、というヤツだ。
実は自身の得て不得手を確認するためにいろいろやってみてるだけ、なのかも知れない。

そんな余計なことにまでつい思いを馳せてしまうリードという役回りは、つとに気難しいと思われているらしく、例えばこういうサイト。
www.eys-musicschool.com
俺自身は目立ちたくてリードに生まれついて、というよりむしろ嫌々、役回りとしてやってきたに過ぎないがしかし、ここ3年ほど「演じ続けた」結果、やっぱり同じように気難しくなってきている(笑)ことを考えると、かなり特殊な役回りということなんだろうか。

とはいえアカペラではリードといっても、楽器バンドがバックのものと比べると歌唱自由度はぐっと低い。
アレンジにもよるが恐らく手応え的には3~4割くらい。
5~6割は「字ハモ」といって、全員で和音を鳴らしている部分だったりしてあまり自由に歌えない。
これに俺は、1割から1.5割くらいは楽譜に書いていないことをやる(笑)ことにしている。

「アカペラである前にまず、歌でありたい」
とは俺が好きな先輩アカペラバンドのキャッチコピー(?)だが、
これは担当パートに関係なく、本当に必要なことであると思っている。
なので、あなたがアカペラ・バンドでコーラス・パート(やベース)を担当しているとしても、いい演奏家になろうと思うなら、かような「リード」の身の置き方も常に頭の隅において、「新しい歌」そのものに対しての興味関心、アンテナは張っておくことをお奨めする。

ところで今、俺が歌おうとして梃子摺っているのは、上述のOfficial髭男ismでもあいみょんでもなく、実はアニメ「けいおん!」のOP・EDだったりするんだなこれが(今ソレかよっ?!)。

*1:ありきたりを避けるあまり、単に「奇をてらっている」としか思えないものも多いが。

*2:まぁいつの間にかまた、ここに戻ってきちゃうわけですが…。