今日の、天使。

f:id:oku_anijin0406:20200319213253j:plain
五輪の影響を考慮して5月にずらしたのが完全裏目に。


職場の人間関係は相変わらずで、今日は予期せぬ「エナジー・バンパイア」の急襲もあったりして、せっかく電話も鳴らない静かな夕方だったのに仕事へのモチベーションをごっそり吸い取られてしまい、何とか手だけを動かす仕事の片付け方で乗り切って帰宅した夜。
自室ドアの鍵を開けながらふと、隣の部屋のドアに目をやると、キーロックが。
今日の昼間、転出だったようだ。
カーテンのなくなった裏の窓から入ってくる街灯の明かりが、廊下側の窓から見えて、この部屋が無人になったことを雄弁に物語る。
この部屋の元住人であった大学生クンとは、生活時間帯が違ったので、廊下で会えばお互いに会釈するだけ、くらいの関係で正直俺は顔も覚えていないのだが、俺の部屋の壁ひとつ向こうに誰もいないのだと思うとなんだか、心にぽっかりと穴があいてしまったような気分。
ふと、この巨大な建物に俺しか住んでいないような不思議な気持ちに。
しばらくはステレオの音、心置きなく全開にできるな…。
ブラック(企業)なんかにひっかかることなく、どこかできっと、幸せになれよ新社会人。

いつもよりもひとりらしい独りの夜の部屋で。
そういえば職場では仕事柄、学生からの電話を受けることも多くなる時期なのだが、以前問い合わせをもらった名前が業務上事前告知されてくる学生名簿に載っていて、「あぁ、ちゃんと合格できたんだ」と嬉しかったり、この学生名簿で見たことのある名前がさらに数年後、遠隔地の学校からの注文者になっていて、「先生になったんだ、すごいなー」だったり。
こちらも直接の面識というものではないものの、一生懸命頑張っている若者たちの姿をこういう形で眺められるのは、なんだか幸せだったりする(なにせ若者が皆無なんで、ウチの職場…)。
俺自身は教師一族だった家系にあって、あえて教師という仕事には就かなかったものの、その10分の1でも100分の1でも同じような「お手伝い」をさせていただいているような気分を味わわせてもらっている。

翌日には、これは若者ではないが、こちらでちょっとした行政手続きが必要だったお客さんから、無事ご本人たちに届いた旨の丁重なお礼メールも(個人名宛で)いただいて、これはこれで嬉しすぎてちょっととまどう。
繁忙期の疲れも、吹っ飛ぶ瞬間。

今の自分の仕事なんて、非生産的で前時代的で、毎年同じことを繰り返していて誰がやってもできるようなことで。
だから何の専門性もないしキャリアアップなどということばとは無縁で、AIが今以上に進化すれば真っ先になくなる程度のもんだと思っていたが。
どんな仕事にも、「天使」は棲んでいるものらしい。
それは容易には目に見えないし、見えるようになるには相応の時間がかかるものかも知れない。
あなたは今日、自分の仕事で「天使」、見つけられました?