8割減。

政府筋からは、緊急事態宣言の発効期間を1か月としたのは接触8割減が達成された場合の終息想定であって、これが仮に7割になっただけで減衰カーブが一気に緩くなってしまい、終息までに倍の2か月を要することになる、といったような話が巷間リークされ始めた。

「人的接触、8割減」!

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催事関連がなくなった駅張りポスター、8割減


これを今の俺の日常生活に当てはめてみると、具体的にどんなことになるのか。
計算してみたい欲求に駆られる*1
とはいえ発令後も(時短ながら)ほぼ通常出勤となっているウチの会社で、人的接触そのものを8割も減らすことが可能ならとっくに全員在宅作業化している。
逆に今の俺の、元々ヒトに全く会わない週末から人的接触を8割減らすとオツリが返ってきちゃう(笑)のでお話にもならないから、1日あたりでなく1週間単位での計算になるか。
で、出勤時に日常業務で顔を合わせる人間が何人の平均何回の、早朝の通勤電車の乗客が2m以内に何人の入れ替わりが何回…などと克明に数値化しようとして、ようやく気付いたのだが。
俺の知りたかった、週5日勤務のうち1日を「自衛のための出勤停止」有給にした際のインパクトは、母数がいくつであれその1/5なんだから「20%減」の道理だ。計算するまでもない。
わざわざ回りくどく考えすぎだ、俺のバカ。こんなんだから学生時代、数学の成績悪かったんだなきっと*2

ってことは8割減にしようとすると、4日…?!
同居家族もおらず、週末はスーパー・コンビニにも足を運ばない覚悟の俺ですら、この数字だ。
やはり出勤そのものをなくさない限り、小手先の時短くらいでは「三密」そのものを減らす効果は薄い、ということか。

緊急事態宣言の「1か月」というのは国民に経済的不安を与えないため、先に結論ありきで用意された値で、これに帳尻を合わせるために、「人的接触8割減」という、実現不可能な目標を掲げざるを得なかったんではないだろうかと勘繰ってしまう。
個人向けのメッセージでは埒が明かないと思ったのか後日、「オフィス出勤者7割減」などといいだした。
何、この「偏差値45でも東大に合格しないと死ぬから」みたいな話?
そしていずれも、達成できなければ「国民責任」というわけだ。
不祥事のいいわけに終始してきた政治と、呆れて見放してきた国民の間の深く大きな溝。もはやコミュニケーションすら取れていない。

この手の危機管理にはとかく鈍感な俺でも、正直「今度ばかりはさすがにダメかも」という予感が、日々拭い切れない実感を伴って頭の片隅から離れなくなってきている。

独り暮らしの俺にとって、毎週末の外出自粛要請は今のところ、「孤独感で自分をメンタル的に痛めつけるゲーム」感覚といったところ。
さて、この週末も一歩も部屋を出ないでいることができるだろうか。

さらに重ねて緊急事態宣言といわれたって、人心引き締めの手段としても「今更」感がぬぐえない。
我々頭の悪い(と役人や政治家たちに思われている)庶民にとっては、法的根拠だ行政手続きだなんだと難しい為政者側の「ご都合」よりも、まだしも早い段階なら心理的インパクトがあって、それだけで行動制限効果はもっと高かっただろうに、本当に残念なタイミング。
日頃いいわけ用でしかないこの人たちのことばはこの期に及んで、いったい何を「制限」したかったのか、その輪郭すらはっきりと見えない。
もっとも軽々に発令すれば、いたずらに危機感だけを煽ってしまう危険性もあったわけだが。

加えてここまで慎重に発令のタイミングを計っていた間に「休業補償」の議論を、先に済ませておくべきだった。
ある会社では、組織存続のためには休業補償するより失業保険給付の方が「安上がり」という判断から、一斉解雇に踏み切った、というニュース。
かなり荒っぽいが、同業他社を中心にこれを「成功したビジネスモデル」として後に続く会社が絶対に出てくる。
国民皆保険とかいって国保はガッツリ収めさせているくせに、失業保険って雇用形態によってはそもそももらえない人もいるんじゃないの?(誰か教えて!)

変わらぬ通勤途上で、「今日を境に」俺の目についたところだけでいえば。
大手寿司チェーン店とコーヒーショップ、さすがにパチンコ屋のシャッターも今回は閉まっており、地元商店街では一番賑やかでいつでも明るかったこの界隈が暗く静かなのは、なんだか見慣れない光景。
帰りの電車内から見えた「ららぽーと」のシャトルバス乗り場はテープで封鎖されており、千葉県名物ともいえる大型ショッピングモールは軒並み同じ対応を取ったものと思われる*3
大手でもファミリーレストランはこの時点では営業していたが、翌日から休業になっていた。
個人ベーカリー、美容室などは換気などに気を配りながらも営業中。
飲み屋では苦肉の策で酒肴の持ち帰り店頭販売に踏み切ったところが多い。
やはり各業界大手は対応が早い印象だが、なおさらこれら店舗で抱えていた「労働力」、多数に及ぶ非正規雇用の人たちは、個人的にはもちろん発令のタイミングを伺ってはいただろうが、不意打ち休業を食らったことになる。
今のところは他人事ながら、その暮らし向きが大変心配だ。
何人かのかつての同僚の顔が脳裏に思い浮かんでしまい、俺には何もできないが胃が痛む。
当たり前だが食費を切り詰めれば栄養状態が偏る。こんな先行き不安な心理状態では本来備わっているはずの免疫力すら落ちていくだろう…。

逆にウチのような零細は、別に社会インフラの一翼でもないのに休むことができない。手を止めたらあっという間に社会的信用を失って倒れる。
俺も含めた誰かひとりでも感染が判明すれば、全事務所ロックダウン。
「その日」に向けて突っ走っているような毎日が続く。
毎月の職員人件費だけでカツカツな現状では、「嵐が過ぎ去るまでの間」を耐え忍ぶだけの内部留保なんか、あるわけもない。

昔から「花鳥風月」を愛でて愉しむことは、独居の基本であり極意だ。

*1:以下の計算、解釈はあくまでも個人の見解です

*2:つい余計なことをしたがるタイプ

*3:食料品を扱うスーパー併設の場合はこの限りではないらしい