ルーツをたどる。

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去年の写真から。
このGW中、ひょんなことからすっかりご無沙汰したままの知人のブログを見つけた。
blog.livedoor.jp


俺にとっては音楽活動を通じて知り合うことのできた、名古屋の「大恩人」のひとりだ。
直接会うことがままならないうちに、時間だけがどんどん過ぎてしまったが。
俺自身はネット上での繋がりというヤツをあまり重要視していないので、いまどきSNSすらやっていないし、他の知人同様俺からは積極的に「追跡」していなかったこともある。
かつてはバンドのHPなどで目にすることのできたお人柄のにじみ出る文章が、すっかり更新が止まってしまったのは残念に思っていたので、ツイッターのような消息情報だけでなくある程度まとまった長さの文章が読めるという点でも、俺にとっては嬉しい。


以下、俺が勝手に抱いているイメージ。
アツく音楽を語る人。
音楽の感動をちゃんと自身のことばにして伝えることができる人。
でも実は、雄弁というよりは聞き上手。

何度か一緒に飲んだときにもお互い、いつまでも音楽談義が尽きない感じで、そんな酒宴の終わりが毎回名残惜しかったものだが、付き合いだけが長くなっても、その人なりの音楽の「原点」って意外と改めて訊いたり話したりしないし互いに知らなかったりする。
仕事や音楽活動を通じて、俺をはじめ世代も異なる多くの人たちを惹きつけてやまないあの人を創ってきたのは、こういう音楽との「原体験」だったのか、という読み方になるが、もちろん直接には彼を知らない人が読んでも、読み物として十分な示唆に富んでいて、とりわけ当時を知らない若いアカペラ関係者に読んでもらいたいと思う。
俺自身は自分の協調性のなさにすっかり嫌気がさして、今や音楽から退いてしまった身なわけだが。
改めて自身の経験と重ね合わせて、初めて俺自身が「アカペラ」というスタイルの音楽に出会ったときの衝撃が、鮮明に思い出された。
世代が同じということもあり、同じ時代の、同じ音楽から得た感動で、もちろん同じ音楽を「ああ、そういう風に聴いてたんだ」という新しい発見もあるが、俺自身の当時の思いと大部分で重なっていた。

例えば、「The Girl in White」の項で、

アレンジ、ハーモニーもコード進行もシンプルです。
そこはやはりドゥーワップがベースです。
「The Girl in White」もすぐ耳コピできました。

しかし仲間を集めて「さぁ歌おうか!」となった時に

…何だろう、全然カッコよくない。

当時のメンバーが合唱畑のひとたちばかりだったからってのもあったけど
音は合ってるのに、ちゃんとハモってるのに…ダサい、超ダサい 苦笑。

どう歌ったらこのカッコ良さが表現できるんだろう…?!?!って
みんなであーだこーだと議論したり試したりしたものです。

…まさにコレ!
これこそが「原点」。
なぜ「カッコいい」のか、自分にとって「カッコいい」演奏とはどういうものなのか、それを知りたいという試行錯誤があったからこそ、ここまで歌い続けてきたのだった俺は。
こういう音楽に出会えるまでの俺の歌は、「楽譜通りに歌う」ための技術の習得にだけ、費やされてきたものだった。

しばらく直接顔を合わせる機会がなかった懐かしさとともに、様々な思いが溢れて止まらなくなってしまい、俺も自分のことばにしてみたくなったようだ。

いわゆる多感な年頃に、いい音楽と出会えるかどうか。
いい出会い方ができるかどうか。
そういうクリエイティブな「現場」の最前線、なはずのご本業の方は、残念なことに今のこの状況下、筆舌尽くしがたいことになっているのだと思う。
しかし、アタマも感性も柔らかい、こういう人たちが、世の中を確かに変えていくんだと信じている。
俺のような、生活様式からして硬直化しちゃったようなヤツには到底無理なことだ。

斉藤由貴さんの「土曜日のタマネギ」*1に関しては、

それなりに流行った曲でしたが
この曲をカヴァーして歌ったアマチュアグループを見たことがありません。
こんなにいい曲なのに…。
今なら誰か歌えないかな。誰か歌って下さいませんか?!

実は大学時代に採譜・演奏した経験があったりする(^_^;
今となってはとてもお眼鏡に適うようなレベルではなかったと思うが…(恥)。


アパート前の道路に、子どもが手にもって振るくらいの小さい紙の鯉のぼりが落ちていた。
ああ、そういえば今年は鯉のぼり、目にできなかったなぁ。
お子さんのある家では例年通りに飾られていたんだと思うのだが、外ならぬ俺自身の記憶として、目にしたという感覚が残っていない。やっぱりどこか、気持ちに季節感を楽しむだけの余裕がなかったのだろう。
印旛新川のゆらゆら橋でも昨年同様、天空を泳ぐ鯉のぼり、見られたのだろうか。
橋からほど近い八千代市市民会館ホールに、吹奏楽定期演奏会に行ったのが、去年のGWだった。
中学・高校吹奏楽部の3年生はこれが例年、現役最後の演奏機会だったんじゃなかろうか。
ご本人たちの、みんなで演奏ができないもどかしい現状を思うと、他人事でいいはずの俺でも胸が潰れそうな思いに囚われる。
ただ見守ることしかできない親御さんたちにしてみれば、計り知れない心痛だろう。
その時、そのメンバーでしか出せない音、というものが確かにあるよな。
そう思うと学生時代って本当に、短かすぎて儚い。
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*1:というか「ポップスアカペラの歴史」というタイトルで、この曲についてもちゃんと触れてくださるあたり…。