さよならさよなら、またあした。

御多分に漏れず幼少期に喘息なんぞを患った俺自身の経験からすると、本当に明朝このまま冷たくなってるんじゃないかという夜は幾度もあったわけで。


まぁ喘息なんかじゃ死なないよ。いや、死んでる人もいるけど死なないよ若いヤツはあまり。
それでも当人には、死ぬかと思うには十分な苦しさだったんだけど。
そんな喘息ごときでも「大病」扱いだったのか、自身の心持ちも、両親を含めた周囲の人たちの気遣いも、なんだかあの頃の自分を思い出すエピソードばかりで(俺も中学2年生まで、20時には強制就寝だったし)。
もしかすると作者も同じような経験がおありなんだろうなー。それをこういう、多くの人たちの共感を呼べる形で表現できることを、とてもうらやましく思った。
主人公は幸いにも「もっと生きたい」と思えるような素晴らしい出会いに恵まれるわけだが、俺はそういった物語になろう出来事などないまま今に至って、いつの間にか健康体になり、「明日」が、今という時間が、とても大切なものだった当時のことなどはすっかり忘却の彼方。日々無為な時間が流れていくだけの毎日だ。人間って、うまくいかないもんだな。
仕事に両足ずっぷし入り込んでしまえば、死へのハードルはいともたやすく下がる、という経験もした。ので、世を儚んで死んでしまうのも、実はそんなに難しいことでもないんだよな、と思いつつ、俺の「残り時間」も貨幣のように、もっと有意義に使ってもらえる誰かに寄贈できたりすればいいのだが、ド〇えもんでもさすがにそういう便利なものは発明してはくれなかったようなので、そういうことができないんだったらちょっともったいないか。
というわけで、俺はまだ少しだけ、生きてみようと思ってるところ。
尿酸値高いけど。

要するにまた少し卑屈になっただけ、みたいな(笑)。