ルーディメント練習。

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練習に必死になりすぎて写真撮るの忘れちゃったので、再掲。

天気予報はみごとにハズレて、快晴。
この時期、梅雨前線がたったの50㎞もズレたら、予報とは全然違う天気になってしまうので、全くあてにならない。この週末4連休だって、現時点での予報なんかあてになるわけがないのだ。


というわけで貴重な晴れは、有効活用。布団を干して、洗濯。
ひとしきり動いた後なのに、午前中は部屋でぼーっと過ごす低血圧な俺。
暑さのせいかやや怠いが、午後からは一大決心をして、近所の公園へスネアを持ち出しルーディメント練習をすることにした。

ご存じの方には「釈迦に説法」になってしまうが、ここでも頻繁に出てくるようになった「ルーディメント」ということば。ドラムの基礎練習方法のひとつ。元々各国軍隊における進軍ラッパのスネアドラム版、みたいなものだったらしい。歩兵が主体だったはるか昔の戦場では、その叩くフレーズの違いによって行動指示を出していた、いわばサインのようなものだったという。
って、俺も別に詳しいわけでもなく、本で読んだことのあるという程度の知識。
世界に冠たるアメリカ軍のものを中心にまとめられた26通りが、代表的なものとして今に受け継がれており、マーチングバンドを中心に今も打楽器演奏の基礎練習方法として、未だに多くの人たちが練習に研究に励んでいる。
欧米では、聖歌隊で歌っていたという人たちの中からプロの歌手が出てくるように、著名なプロ・ドラマーが幼い頃マーチングバンドで演奏していた、というケースも多い。文化的(宗教的)な下地、というか裾野の広さがそもそも日本とはけた違い。
そういうわけでプロのドラマーたちの間でも、リフやアドリブソロを組み立てる際、このルーディメントをヒントにしたり積極的に活用した事例が多くみられる。元々スネア上だけで叩いている左右の手の複雑なスティッキング・パターンを、シンバルやタム、あるいはバスドラに振り分けて展開していく手法。
ことばの習熟に例えると単語のようなもので、これらをいくつか繋いでいくことで、奇抜な発想力がなくとも徐々に長大なドラムソロを構成できるようになる、という理屈だが、未だ使いこなせていない俺の使えている「ことば」は、悲しいかなまだまだ「喃語」のレベルだ。
という風に自らに位置づけて、基礎中の基礎であるルーディメントの重要性を改めて認識しているところ。
ギターのコード進行や、トランペットなどのリード楽器で曲のキー毎に使えるスケールが決まっているように、打楽器もアドリブといえど無秩序なわけではなく、いくつかの典型的な「手かず」(パターン)というものが、実はあったわけだ。

しかしゴムの練習パッドから実際にテンションのかかったヘッドを張ったスネアでは、久しぶりということもあって相当な違和感。リバウンドの感触が全く違う別物で、練習台でできたことが実際のスネアではやはりそうそううまくはいかない。
むしろ練習台ではそれほど気にならなかった、瞬間の迷いを孕んだ一打、とかよたり具合は、「楽器」相手だとその音に、明らかに増幅されてしまう。
いつの間にかそれなりに聴けるくらいになっていたロールは、練習台と違ってスネアだと楽器音そのものにサスティンがかかるので、ちょっと楽しくなってしまったが。
肝心のルーディメントの方は、今日は新たに6ストロークかラタマキューあたりから入ろうか、などと思っていたものの、(シングルストロークとダブルストロークの基本的な組み合わせである)パラディドルが安定して聴けるようになるまでに相当な時間を要してしまった…明日はもれなく両腕、筋肉痛だなこれは。
なまじ自身に、中途半端にリズム感があるだけに、わずかなヨレでも気になって仕方がない。
やはり変に周囲の視線を気にして、最初は抑え気味の音で、などという器用なことができる余裕なんて、あるわけがなかった。

最近はまっているダブルパラディドルでは、叩くだけでなく「正論」とされている腕の振りを試していたらアクセントが思いがけない場所に移動してしまい、1小節ももたずあっという間に「迷子」に…いったい何拍子で叩いているのかすら、自分でもわからなくなってしまう。
こりゃダメだ、さすがにメトロノーム使わないと。
俺はそもそもメトロノーム練習否定論者で、そもそも自分の中でテンポ・キープができていないうちにメトロノームに合わせて叩けても、バンド演奏で「司令塔」たる打楽器がメンバーを引っ張っていけるわけがない…と思っていたのだが、こういう場面で必要になるんだな。
慌ててスネアケースからメトロノームを出した。
それからリムを叩いて腕の振りをまず、身体に覚え込ませる。
そんなこんなでようやく調子が出てきたところ、若いお母さんに手を引かれた幼稚園くらいの女の子が、元気よく両手足を上げながら行進の真似事をして通り過ぎたのが視界の隅に見えた…ちゃんと聴かれちゃってると思うと、今の俺のレベルではちょっと、かな~り恥ずかしい。
16分音符でも3連系でも、ルーディメントってやっぱりベースは「行進」のリズムなんだな、と改めて実感した。

最終的には久しぶりに、「爆音」を鳴らしてあげられたので、スネアも満足だったことだろう。

確か昨年12月の、某高校の吹奏楽ステージだったと思う。音楽大学に合格したということで3年生が任された独奏というのを観たのだが、たったひとりで、スネアだけで延々と繰り広げられたアドリブ演奏は俺にとってかなり衝撃的で、もちろん初めて見る演奏形態。持参していたデジカメで動画を撮っておかなかったことを猛烈に後悔した。
後日、偶然入手した雑誌のバックナンバーで、掲載されていた教則本の広告から、どうやら「ドラムコー」というジャンルの演奏形態だったらしいことを知る。
何も大がかりにドラムセットを広げたり、他の楽器とのアンサンブルでなくとも、スネアひとつでもできることはまだまだあったのだということに、とても勇気づけられた。

折よく(?)、決まった演奏機会も当分はなさそうだし、いい機会なのでしばらく、じっくりと腰を据えてやってみるとしようか。