船橋界隈を散歩。

酒の肴、といえば「浦安魚市場」。
テレビでは幾度か、しじみを串で焼いたものなんかが紹介されていたが、いつか行ってみたいとずっと思っているうちに昨2019年3月末、建物の老朽化を理由に閉鎖になってしまった。
跡地には野村不動産がマンションを建設中だ。
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先日、職場の上司とそんな話をしていたら、船橋*1に杉岩商店という、焼きあさりを売る店があるとご教示いただいた。前職時代のお得意先のひとつだったそうで、まさか千葉ローカルの話題が職場で盛り上がるなどと思ってもみなかった。
折よく、今度親戚からもらったリンゴを少しおすそ分けするよ、とこの上司にいっていただいたので、その場で「懐かしの味」でお返しができればと思い、午後から二日酔いの身体を引きずって行ってみた…というほど今の俺の自宅からは遠くないのだが。
…2月に閉店、の貼り紙。
2月といえば丁度、このコロナ禍が始まった頃合いで、恐らくは後継者問題だったのだろうか、などと邪推する。

どうにも諦めきれず、似たようなものでいいからなんとか、と「ららぽーと」内の船橋市観光案内所へ行ってみる。
広い館内での位置は、実はうろ覚えだったので、かなり歩き回ることになってしまった。折悪しく1階の館内案内所がコロナ禍のお陰で無人だし。別館2階の案内所まで歩いて行って聞いた方が早いのか、それともこのままあてもなく歩き回った方が早く行き当たるのか…。
ようやく自力で辿り当てた観光案内所は当然ながらパンフレット類が中心で、食材も少し扱ってはいたが俺が期待したようなものは見当たらなかった。
次の一手は、やはりテレビで何度か見たことがある、というだけで船橋漁協の売店を目指す無謀。
これも勘だけで歩き回り、船橋漁港の事務所の方に行ってしまい、やや途方に暮れる。
そこからの眺めで、もしかして対岸の突堤上では、とあたりを付けて、結局海老川水門を2往復する羽目になった。
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水門上は自動車は入れないが歩行者用の橋として利用できるようになっていて、周辺にお住まいの方たちの生活道路になっている。
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湾岸の構造物というのはそもそも防災機能を兼ね備えているものが多く、先日DVDで見たアニメ版「打ち上げ花火…」のメインイメージである犬吠埼灯台を例に引くまでもなく、この水門も堅固なコンクリート一色で囲まれて普段は無人、窓は大概古めかしくて重々しいスチールサッシ、その生活感のないがらんとした窓の中に、不意に人の気配を感じられたりする、ちょっと不思議な風情があるものだ。
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実際、この辺りが船橋市の夏の打ち上げ花火会場になっている(今年は中止だったが)。
そんなこんなで事前情報なく、這う這うの体でようやくたどり着けた「みなと屋」は15時閉店で、残念ながら少し回ったところ。
俺の気配に気づいてくれた、何度かテレビでお見かけしたことのある美人のおかみさんがガラス戸を開けてわざわざ出てきてくれて、「もうホンビノスくらいしか、残ってなくて…」と申し訳なさそうにいってくれた。
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ああ、途中で道に迷ってなければぎりぎり間に合ったはずなのに。
船橋、といわれてJR船橋駅の賑わいを想像すると、あまり江戸時代から続く漁港をイメージする人はいないかも知れないがこの辺り、俺はこれまでも何度か来ているが、好ましい漁港の風情が色濃く残っている。
三番瀬界隈の潮干狩り場ともまた違った、海の街・船橋の一面だ。
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ところでリンゴの件はその後、どちらから切り出すこともなく…というかお互い忙しくてそれどころじゃなくなった、というところ。

*1:京成線の大神宮下が最寄駅。この駅、今は畏れ多くも高架化により「下」といいながらホームは大神宮=意富比(おおひ)神社よりも高い位置にある