世間でいうところの。

いつも通りの、早朝出勤。
世間でいうところの「監査」に備えて、昨夜からイメトレしていた作業を実施。
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  • 「メイン会場」となる応接の長机上、水拭き
  • パーテーション代用としているホワイトボードを移設
  • 掃除機掛け
  • トイレ掃除を済ませ、トイレロールを補充
  • トイレへの導線上に梱包用緩衝材?が散乱しているのを片付けた

項目最後のは、要するにまたチーフの尻ぬぐい、というやつ。
社の共有スペースを「自分の机」替わりに使えちゃうヤツ、これまでの会社にも何人かいたが、俺はそういう仕事のやり方をするヤツと、その日に出したもの(書類や文房具)をその日のうちに定められた場所に戻せないヤツを、仕事相手としては信用しないことにしている。
どちらもたったこれだけのことではあるが、それが出来ないということは、その日やるべき仕事ですら自分の中で「整理」する能力がない、といっているのと同じで、こういう仕事の仕方をするヤツに限って翌日、探し物でほとんどの時間を費やしてしまい、ろくに仕事が進まないものだ。

そうこうしているといつもよりかなり早い時間に社長、ご出勤。
必要な資料や帳簿、記録類は昨日までに俺と上司ですでに揃えてあり、社長室で何をごそごそやっているのかとみれば、どうやら今年1年の我が社の「成果物」を並べ始めたご様子。
いや、いくら社会的公共性をアピールしても、事務処理の落ち度を見逃してくれるわけじゃーないし。
そもそも個別の法人の事業内容についてじゃなく、法人としての体を成して運営されているかどうかが問われるのであって…なんかズレてるよなこの人。
そういえば前回の監査後も1年ぐらいずっと、もっと強い指導があるものと覚悟していたからなのか「文書での通知に留まった」と誇らしげだったっけ。通知は通知で、あったわけなんだが。

関係者だけですでにみっちり「密」な状態だったからか、俺は特に立ち合いを請われることもなかったお陰で、このところ今日の準備で滞っていた仕事がたいそう捗ってしまった。
9月の「一方的な時間の約束反故」以来絶縁状態が続いているチーフは、相変わらず無言のまま俺の机の正面から書類を突き出してくるのが、かなーりカンジ悪い。
しかしこのところは聞き取れないことばをモゴモゴ呟いていることが多くなり、どうやら心理的にかなり効いてきている感じ。世間でいうところの、俺が「マウントを取った」という状態なのだろうか。この状況ではもう、業務であっても一方的に命令できるわけがないし、この仕事「上長から」というマジック・ワードが俺に通用しなくなったのも、身に染みてわかったらしい。
そういうわけでこちらの都合お構いなしに差し込まれてきていた仕事が激減したこともあり、俺としては自分の仕事がいつも以上に捗っており、コロナ禍による時短勤務継続中にも関わらず、定時退社が続いている。

「世間でいうところの監査」の方に話を戻すと、一度だけ求めに応じて不足分の資料ファイルを事務所から持って行ったら、朝の一発目から挨拶もそこそこに、早くも議論白熱している。
午前中の検査が昼休みにまで食い込んでしまったのは、お互いに思いのほか建設的な議論になってしまったからだと後で伺った。
午後も通年どおり予定していた16時頃を回って、関係者がわらわらと応接側から出てきた頃には17時になっていた。
事務処理で繁忙をいいわけに至らない点は多々あったが、ひとまず隠蔽や、ましてや私的な利益誘導といった「悪意」はないことは、ここ数年の監査を通じて先方のご担当者にも十分に伝わったものらしい。
事前の俺の想像通り、社長ひとりだけが何度か空気を読めない発言をして、現場が「ツンドラ気候」になったことがあったようだが…。

社長の戸締りに付き合っていたらやや遅れて、上司にお声がけいただいていた「現場功労者」の方々のウチアゲに合流した。
俺としてはこのメンバーで飲むのが実は初めてで、最初こそやや堅苦しい空気もあったが、飲み始めるとあっという間にバンドで一緒に飲んでいた頃の雰囲気に戻った(そりゃそーだ…実は俺にとっても知己の音楽関係者、だったりする)。
上述の、社長の空気読まない発言を含めた裏話をいろいろ伺ったが、もちろんここに書けることではない。
時折、俺には難解な専門用語も交えながら、終始お話を伺っていて俺が新たにした思いは、仕事って何をやっていても「自己表現」だなと。
「ほうれんそう」とはよく社会人の常識として引き合いに出されることばだが、ようするに今、自分が何の仕事に手をつけており、どういう困難に直面して、どういうことに悩んでいるか、全てをことばにできればいいのだが、上司ともどもお互いに多忙な身ではなかなかまとまった時間をとって打ち合わせ、というわけにいかないのも正直なところ。
そういうときでも、ちょっとひとりごとを呟くだけで、誰かが不意に手を差し伸べてくれたり、休み時間に声をかけてくれたり…翻って俺自身は、他のスタッフに対してそういうアンテナを常に張りながら仕事ができているだろうか、とちょっと思った酔っ払い。

プロの方たちの口から次々に出てくることばは正直俺には理解できないものも多かったが、その空気感(熱意)だけで十分に楽しかった。組織に所属していない人たちの、力強さ。
この人たちから、会社が今より少しでもよくなっていけばいいけどなぁ。
俺は実働部隊にはなれても、この場ではただひとり、何の専門性も持ち合わせてはいない人間だが。

いつもより遅くなった帰りの電車は思いのほかガラガラだったが、俺が座ろうと思った席には、季節外れの小さい蛾の「先客」が。
ボールペンの先でちょっとつついて斜向かいの席へと、どいていただいた。
程なく乗り換え駅から大量の客が乗ってきて、一気に混雑した車内。
先ほどの蛾はと見やると、我先にと座った乗客の背の下で、羽ばたくこともなく圧死したらしい。
こういうシチュエーション、初めてではなく…また女性か。
俺の個人的な経験則だと、こういうことが度々あるから、
「女性のきめ細やかな気遣い云々…」
というサービス業にテッパンの広告文句は恐らく、作ったのが男性で多分に「願望的」コピーであって、俺は今まで一度も信じられたことがない。
わが社でのコツ骨サマやミニラを例に引くまでもなく、ウチの職場は多分、世間でいうところの珍しいくらい女性職員の割合が高い。だから矢面に立つ機会も多いのは想像できるが、そこを差し引いても何か比較的デカいことをやらかすのも大概、女性だったりする。
…座る前に、座面くらい確認しようよ。