病院にて。

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金色の、葉。

9時、玄関のチャイムに起こされる土曜日。
「メーカー在庫切れのため2月中旬納品」となっていた卓上プリンタが届いてしまった。
会社で使うために手配していたもので、早く届く分にはありがたい、のだが。
というか以前俺自身も働いていた湾岸倉庫街経由での納品で、咄嗟に当時の、何人かの同僚たちの顔が懐かしく思い浮かんだ。
しかし、家電量販店で見てきた本体は小型だったもののダンボールがデカく、これ抱えて朝の満員電車に乗ったら顰蹙かもなぁ。
会社受け取りにしとけばよかった、とちょっと後悔。


今日は、現状2か月に1度の通院日(尿酸値の経過観察)だったが、早く行ってもどうせ待たされるのがわかっているので、布団に戻って1時間ほど二度寝する。
平日よりも明らかに時間のかかっている外出準備を終えると、部屋を出られたのは目論み通り11時丁度だった。

実は1月の3連休中に、腹を壊していた。
その後しばらくは食周りを自重していたせいもあって一旦快復していたのだが、今週火曜の夜になって再び同じ腹痛の症状。
ストレス性の便秘のときと同じような鈍い痛みで、都度トイレへ行ってみるのだが、食中毒のときのようには容易に出ない。
運よく排便できても、もちろん下痢だ。
これも特に食周りに気を付ける以上のことはしなかったが、どうやら自然治癒。
この時点では、数年前初めて今の内科病院に通うようになったときの症状である腸炎を、俺自身は疑っていた。
結局一睡もできなかったので、翌水曜日はあえなく欠勤とさせてもらい、今の緊急事態宣言下シフトでは平日休みになっている木曜日に代出勤することにして仕事周りは対応した。
昨金曜日にも、同症状。
さすがに食を、仔細に疑ってみるわけだが、この3回に共通して食べたものとして思い当たったのは、生卵。
3連休のときに食べたものは、もしかしたらやや古かったかもで、これが運悪く俺のアレルギー反応の「引き金」を引いてしまった可能性がある。
幼少時には乳・たまごにアレルギーがあったが、一昨年、本厚木のレストラン匠での開店記念パーティでお土産にもらった地タマゴが大変おいしく、そのときもその後も特にアレルギー反応がでなかったこともあり、すっかり気をよくして「たまごかけごはん」が独り暮らしの夕食メニューに加わっていた。
アレルギー反応というと俺自身がはっきりと自覚している代表的なものはソバで、この場合の反応はもれなく蕁麻疹。
そもそも、アレルギー反応で腹痛なんてあるのか?
とはいえありえない話ではなく、またインフルエンザの特効薬だかワクチンの中には鶏卵由来のものもあるやに聞くので、かかりつけ医の先生にも、俺という患者の特性としてこの際、知っておいていただいた方がよさそうだ。
というわけで今日の診察は、俺としては珍しく、先生とお話しすることたくさん。自分の中で事前に情報整理しておく。

待合室は俺の想定外で、前回4月の緊急事態宣言のときとは違って大混雑していた。
みなさん、病院入り口に設置されているアルコールで手指消毒はされているのだが、その割には病院設置の雑誌は、簡単に手に取るよな。
まぁ待ってる間は退屈だし、何よりも「病院だから安心」、であってほしいものだが。
俺は、申し訳ないがそこまでの信用はできない。
何かしらの本を持参すればよかったと後悔。
今日の俺はあいにく、「お薬手帳」くらいしか持っていない(笑)。

入り口ドアの貼り紙には、「発熱外来は診察対象外」との記述。
俺はそんなものがあること自体、知らなかったが、今回のコロナ騒動で新たに設置された、地域の医療分担体制なのだろうか。

今日も看護士さんたちはそれぞれの役割に従って、キビキビと動き回っていて気持ちがいい。
窓口の事務員さんも含めて、一分一秒でも早く診察を終えられるように、という気遣いが感じられる。
もちろんだからといってひとりひとりの患者さんを「3分診療」のごとくぞんざいに扱っている風ではなく、むしろ話を聞きとるような場面では充分に時間をとってくださっているのが、はっきりとわかる。
プロの仕事だ。
俺には未だに職場での「自分の役割」が、こうもはっきりとはわからない。
この病院、今日に限らず患者さんがいつも多く、待ち時間が長いので、ネット上での口コミは必ずしもよくないのをごく最近になって知った。
子どもの頃から病弱で通院が生活の一部だった俺は、気にもとめていなかったのだが。
通院のたびに、長待ち「改善」を目的とした小さな変化も見て取れる。
診察待ちの間に看護士さんから、主訴のその後について事前聞き取りされるようになった。
オンラインで結ばれたカルテに入力されたこれらの情報は、診察室の先生が事前に目を通すことができるようになっているらしい。
今日は俺にとってはアタリで、若い方の看護士さんだった。
通院日の調整の際、窓口で次回来院予定日のメモを渡してくださるようになったのも、この一環と捉えることができる。
症状急変でもない限り、俺のような患者らしくない患者は、(もちろんこちらの希望も汲んでいただいた上で)比較的通院予定者が少ない日に回してもらっている、らしいのだ。
それでも厳格な予約制ではないので、天候や私事情、もちろん症状によっても来院日を変えてしまう人も多く、想定外に今日のようなことにもなるわけだが。

診察待ちの時間は暇なので、こんな具合に「人間観察」をしていたわけだが、病院スタッフだけでなく、主な患者であるお年寄りたちからも、咄嗟のひとことが出ることには感心する。
挨拶に始まって、帰るときには「ありがとうございました」「お世話様でした」「お大事に」…当たり前といっちゃあ、当たり前なのだが。
翻って今の俺の職場は、それすらできない人たちばかり、なんだよなぁ。
たったそれだけのことなのに、できない、やらないことでどれほど職場の人間関係がギスギスしちゃってるかの自覚がないことが、一番の問題だ。
一度どこかで、こっぴどく懲りる羽目にでもならない限り、いつまでもわからんだろうなぁ。
もっとも年寄りの中には、「車で来たけど駐車場空いてなかったので、空いてるところに止めちゃった。大丈夫だよね」などと窓口で話している手前勝手なバカもいるが。

先生は俺の話を聞いてくれた後、念のため腹を触診してくださった。
こんな時期でもあり、触診後には一旦別室に下がって、こまめに手指消毒をされていた。
今日は俺の問診中に看護士さんからメモが差し入れられて一度、席を立たれて2階に駆け上がっていった。
これまで別の先生による診察中にも、俺は何度かお見掛けした光景ではあったが。
レントゲン撮影をされたらしく、ひとり何役もこなされている。
大変だなぁ。

診察が終わって待合室に戻るともう、午前の受付時間は終わっているので、患者さんの姿はなかった。
人影がなくなると、待合室の南側に小窓があるのに気付いた。
先ほどまでの喧騒が嘘のように
木漏れ日が
誰もいないソファーの上で踊っている。

で、アレルギー反応による腹痛はあり得る、とのお話だったが。
予後について聞いておくの、忘れた。
…反射的に缶ビール、開けちゃったよ。