PCR検査。

日頃にも増して(5本もの)長文で自身の思いを吐き出さずにはいられなかった、先月末。実はようやく今日になって、その理由について書くことができるのだが。
会社では俺が、周囲の一部スタッフとの、相も変わらぬ非常識なやりとりにうんざりしている、丁度そのとき。

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後楽園駅、怖すぎっ!

実家では父が、脛の高齢湿疹を悪化させてしまい、病院へ行こうと検温したところ微熱。
かかりつけ医に行ったところ、PCR検査を奨められたのだそうで、珍しくやや取り乱したメールが俺のパソコンの方に入っていたのに気づいたのは、当然俺が帰宅した夜になってから。


最初に俺の頭をよぎったのは、俺が仕事始めの5日に俺が実家へ立ち寄ってしまったことだった。
慌ただしく玄関先で失礼したはずだったが、それにしても2週間以上経っており、万が一検査結果が陽性であっても直接の感染原因にはなり得ないようだ。
いつもより慌ただしく夕食を摂り終えてから、すぐに電話を入れた。
珍しく母が電話を取った瞬間、しまった迂闊だった、と気づく。
奥の部屋に父が自身を隔離していたのだったら、電話口に父を呼び出すべきではない。
しかしほどなくして聞こえた父の声は、メール文面から思ったよりは元気そうだった。本人曰くマスク越しの息がやや苦しいのだそうで、風邪を引いているのは間違いなさそうだ。
今は距離的に離れて暮らしていることもあり、努めて冷静を装っていたつもりの俺だが、味覚異常のことを確認するのを忘れたし、さしあたって医療関係者である叔父にだけは連絡を取っておくようにアドバイスするのが精いっぱいだった。
父のことばには咄嗟に、「今の状況じゃあ、誰が感染してもおかしくない」と返していたが、感染(の可能性)を謝られたことに気づいたのは、相当時間が経ってからだった。
別に、謝られるようなことではないのに。
俺は真っ先に「最悪の事態」を想定してしまったわけだが、その前段階の可能性がいくつもあることを、電話を切ってから思った。
同居家族が濃厚接触者として、最低でも2週間の出勤停止になった場合。
勤務状況や具体的な職務内容は、本人にしか調整できないとしても。
当座必要な食糧の買い出しは、ネット注文で可能なのだろうか。
しばらくの間は、俺が仕事あがりに玄関先へ置いていくことで代行することはできるだろう。
他に、俺ができることはないか?
ゴミ出しや、銀行での振り込みと出金…他に生活上必要なことは?
妹に「頼む」とメールを打ったとき、離れていて何もできないもどかしさから涙が出そうになった。

結果、数日後に出た検査報告は陰性で、今となっては笑って書ける内容ではあるが、何ができるわけでもないのにとにかくいろいろと身構えてしまったこともあって、さすがに気疲れ。俺のライフ・ゲージが相当減少しちゃったらしく、日記の更新頻度もいつもにも増して落ちたし、ここしばらくはラジオのお気に入り番組すら、耳にすることができなかった。

それにつけても、折しも開会した国会での議論は、今まで以上に全く俺のこうした「現実」生活に引っかからなくなった。
本当に庶民の生活実感からはかけ離れた別世界でのハナシに見えてしまう。
なんだ「罰則」って*1
そんな重箱の隅の議論、どっちでもいいからさっさと決めてしまえ。ほかに時間と知恵を費やすべき問題が山ほどあるだろうに。

総理答弁にあった、既存のセーフティ・ネット(笑)活用論に至っては、もう呆れるしかない。
福祉の現場に少しでも携わったことがある人なら共通認識になっていることだが、我が国のセーフティーネット(笑)はもう長いこと、(民間同士の支援を除くと)個別事情に対応できる細やかな途中段階がほとんどなく、いきなり生活保護まで堕ちるしかない、という(自称)先進国中、最悪な制度設計のままだ。
それでなくとも政治家の方々は日頃から、自身に都合の悪いことは答えない、論点をはぐらかす、出してくる資料は黒塗り、などということばかりやっていたもんだから、いざ今回のような国の緊急事態になったところで、こんな時だけ国民に耳を貸してもらおうと思ったって、(元々政治に無関心といわれてきた若者を中心に)伝わりはしないのが当たり前だろ。ハナからまともに聞いちゃいないよ。

様々な分野の法・制度が、基本的には高度経済成長期だった昭和40年代のシステムのまま、横着して都度手直しだけでなんとか回そうとするもんだから、今の時代に合わなくなっている矛盾が続出してしまう。
社会保障制度も例外ではなくて、かように何事にも悠長な行政・立法が、これだけ多くの制度を一気に作り上げた当時は、彼らがこの国の将来に危機感を感じるほど、今よりも相当劣悪な労働環境だったんじゃあないだろうかと想像してしまう。

今回もどうせ東京五輪を強行するのなら、この機会をチャンスと捉えて、社会システムの全面的な見直しくらいは議論してくれていれば、まだしも賛同者も増えたんじゃないかと思うが*2
例えば「大きな政府」を解体して都市一局集中を改善するにはいい口実になると思うんだが。
そうなるとこれまでこの手の話を何も進めてこなかった政治家と官僚に批判が殺到しちゃうタイミングでもあるか。
肥大化しすぎちゃった中央集権(既得権益)を手放さないまま、人口の一極集中を野放しにしていたツケが、コロナ禍で一気に噴出している。
永田町という「閉じられた空間」で関係者全員が罹患する、くらいにならないと懲りないな、多分。
そういえばいつの間にか立ち消えたけど、首都移転議論なんてーのも、かつてありましたよね…。

そうしてあるべき指導力をとっくに失ってしまったこの国では、医療従事者の方々の必死の奮闘努力の甲斐なく、たくさんの国民の命が今日も理不尽に奪われてしまっている…。

その間にも、大物政治家やら元首相やらから、失言やら謝罪やら撤回やら。
口ではその場しのぎになんとでも言えても、今さら時代に合わせて価値観を変えられるほど頭柔軟じゃないんだからさ。
そんな年寄りばっかでツルんで、後進に道を譲ろうともせず仕事と肩書にしがみついてるって、いくら一生遊んで暮らせる財産を持ってても心根が「貧しい」。こういうトシの取り方はしたくないもんだ。

別に東京五輪がどうなろうが、俺はハナから相手にしてないので知ったこっちゃないが。
高倍率の抽選をくぐり抜けて運よくチケットに大枚叩いた方たち、仮に中止・延期が「無観客」に落ち着いても、残念ながら払い戻しは、なさそうですよ。かつて東京マラソンの中止措置で社会実験、実証済みなので。

*1:特措法に盛り込むべきかどうかの議論、営業時間短縮要請に従わない事業者や感染判明後入院を拒否した患者に対して。

*2:1月のNHK調査では「開催すべき」と回答があったのは16%。