金曜日の、エナジーヴァンパイア。

という、HSP(Highly Sensitive Person)気質の俺の、天敵。
極簡単にいうと、共感性が高くて自他の境界線が薄いHSPな人間にとって、他人の領域にずかずかと入り込んでくる「エナジーヴァンパイア」と呼ばれる気質のヤツとの接近戦は、心的エネルギーを一番猛烈に消費する。
専門家的にも、一番避けるべき事態とされている。



朝の机上に、昨日の上司からのメモ。
今日の上司は本来なら在宅勤務だが、出勤やむなし(ただし少し遅れる)、とのこと。
しかし、この後の状況を思うと結果的に出勤していただいて大変助かった。
俺ひとりであの状況になったら、ひとことも言い返すことなく問答無用で速攻帰宅してただろう。

というのも。
昼前になって、鬼の形相のミニラと「お供のお猿」はチーフ。
ミニラはいつものように、すでに全身にチャージされた怒りからすでに全身、わなわなと震えている。
毎度俺との話ではこの剣幕なので、俺にはその情報の8割以上が耳に入ってこない。
「今までも何度も申し上げていましたが」
何故かこんなとこだけ使い慣れない敬語な爬虫類。
これも毎回、この剣幕で「自分がどれほど怒っているか」については滔々と語るけれど、怒っている理由についてはなにせ丸ごと欠落しちゃっている説明能力。
何度言っても俺に通じてない、という認識はあったらしいが、こちらとしても「サンショウウオ語」じゃなく、俺にもわかる日本語でお願いしたいものだ。おまけに感情論になるので話が同じ所をグルグル回ってて、一向に先に進まない。
そもそもアンタ、俺に話しかけるのやめたって一方的に宣言したんだよな。
自分で決めたことじゃん。
逆に、俺に相手にされないと怒り出すとか、知らんがな。
そのことでアンタが業務上どれほどの不利益を被ろうが俺には無関係だし、それこそ自己責任でしょうが。
…これはさすがに、こう言い返すタイミングか、とも思ったが、居合わせてしまった上司の血圧にも悪そうだったので、ちょっと考える。

そんなわけで相当な時間が過ぎてからようやく断片的にだが俺にも状況が読めてきて、どうやら先方の言い分は、必要なものはもれなくこちらで回収して全て揃えてから、謹んでミニラにお出ししろ、ということらしい。
お互い人間だからそりゃ、たまには忘れることもあるでしょ。
だからこそ複数の人間が関わってるんだから、こちらも足りないことに気づいたら自分で回収して回れとまではいわないが、ひとこと声かければ済む話じゃん。
結局他のことは一切できないわけだよねアンタは。
上司もこの点が腑に落ちなかったらしく、何度か
「で、〇〇さん*1は、この一連の作業では何をしてくれるわけ?」
と訊き返していたが、当然こちらが納得いく返答はないまま話をはぐらかす。

それにしてもよくたったこれだけのことで、1時間近くも怒りを持続できるよな。
こちらにどれほどの落ち度があったにしても、業務上の話で1時間近くも「恫喝」を受けるべき理由にはならない。
年度末進行のこの時期、何かと忙しいのもアンタらだけじゃねーし。
ミニラの仕事もこの間止まっていたはずだが、全く意に介していないところを見るに、実は結構暇、なんじゃなかろーか。
他にできることもないしなーコイツ。
二言目には「■■さん(前任者)のときには」「■■さんからの申し送りに」…前任者のやり方を続けてたら、俺の帰宅時間は今もって毎日「2時間残業」のままだったはずだし、ご存知の通り明文化されたマニュアル類での引継ぎなんて、この職場でこれまで一度もないから。
同じ仕事をくり返しているようでいて、日々少しずつでも工夫を重ねて標準化・省力化してきた結果として、俺も上司も今は定時に帰れるようになっただけ。
「定時で帰るのも、仕事のうち」で、3人でやって毎日残業だった仕事量を、今の上司の協力も仰ぎながら「2人区で定時上がり」にまで省力化した自負があるので。
いまさら「以前からこうだったから」、とか「これがウチのやり方」とか言われてもね。
頑なに同じやり方を1ミリも変えずに貫くことだけが自分の職務上の「責任」と思い込んでるようだが、非効率なものは非効率だし、同じ間違いを何度も繰り返しているわけじゃん実際。
「ウチのやり方」に至っては、これまでいくつかの会社を渡り歩いてきた俺にとって何の意味ももたないし、標準化されてもいないそんなもの、いくつ覚えたところで他所ではクソの役にも立たないってヤツだ。

だいたい、全ての現物が揃って来ないから「作業が止まってた」って、黙ったまま止めてたの、オマエらじゃん。
上司がその辺をやんわりと突っ込むと、いつも二言目には「上長に許可を得たので」だ。
たった一度上長の言質を取ったからって彼の責任にされちゃうのも、上長に同情しちゃうけど。
そのまま何日も忘れてたのは、担当者たるアンタらだろ。この間毎日、上長に具申・確認してたとはとても思えない。
この手が通用すると思い込んでいる以上、アンタらはこれまでもこれからも決して自らの非を認めることはしないし、確かに「無敵」だよな。
もはや、性根から腐ってるなこいつら…。
俺の方ではこれまでもこうした指摘があれば、そうはいっても自分なりに落ち度があるのかも、と一旦は冷静に、努めて耳を傾けてきたつもりだったが。
俺ひとりがどんなに頑張ったところで、こういう意識で携わる人間がひとりでもいる限り、同業他社間での対外的な評価が1ミリも上がるわけもない。
正直もう、すっかり愛想が尽きた。
今後も文句があれば、こうして怒鳴り込んでくればいい。
でも俺は一切、創意工夫や指示のない自発的な作業には手を出さないことにする。

結局、一方的に仕事を止められちゃったこの長い時間に、俺が発したことばは
「聞いてません」
だけに留めた。
俺が他にひとことでも発していたら、もうひと押ししていたら、ミニラはどこかの血管が切れてその場に倒れ込んでいただろうに、大変残念だ。
ダメだなぁ俺、肝心なときに「優しく」なっちゃって(笑)。

というわけで、エナジーヴァンパイアの典型事例、わかかりいただけたかと。

思えば不憫でもあるんだけどなー。
今どきパソコン一切使えないから、まだしも緊急避難的にリモート作業を割り振ってもらうってわけにもいかず「在宅」にできない。
こんな具合だから他に配転先もないわけで。
(無意識下での)自己評価が低すぎて、単に人のマウント取りたいだけになっちゃってるんだよなコイツら。

上司も、先方が言いたい放題言って引き上げた後、俺とふたりだけに戻ってから、
「要するにアレ、『忘れたまま(1か月近く)止めてた』ってことだよな」
と、全く俺と同意見だった。
「〇〇とあの■■の間で、よくこれまでやってこれたな~阿仁さん」
…お陰様で。俺も強くなっちゃったもんだよホント。
とはいえ腹立たしいことに変わりはなく、これまで幾度となく、引継ぎ文書ひとつない状況で、引き継ぐ側として散々苦労してきて、今日もこうして理不尽な思いをさせられた身としては、一切の(引継ぎ)文書を残さず明日にでも退職届を出して有給フル活用、現場大混乱、という妄想が捗ってしまう。

俺も上司も、本来なら午前中には終わらないまでも目途がつくはずだった仕事が一方的に中断させられてしまい、切れた集中力のお陰で結局午後、イチから立て直し、みたいなことになってしまった。
大変、効率が悪い(というか、すでに一日分のHP消耗した)。

*1:ミニラの本名