加齢。

この街の、日頃買い物に行く大手スーパーマーケットでは、レジ係は若い女性を中心とした制服姿。商品価格は他店同等で、何という特徴もなく、物によっては「ついで買い」を期待してかやや高め。
もう一軒、コンビニより一回り大きいくらいのガレージマーケットは価格が安いので、給料日前を中心にお世話になっている。レジ担当は腰の低いオバサンたちで、パートというにはプロ意識が高めな方々で、好ましい。
いいトシして未婚の俺(多分無関係)としては、スーパーの若い女性スタッフについつい目が行ってしまうわけだが、そんな俺はというと、傍目から見ればどんなに痩身と清潔感を維持しようとも、ガレージマーケットのオバサンの横に「ご主人ですか?」とか言われて立っている方がむしろ自然なんだよな。
ふとそこまで思い至ってから、(申し訳ないが)かなりゾッとしてしまった。
いつかはこの事実をちゃんと受け止められる日が来るのだろうか、俺にも。

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探せばあるもんです、近所にも。


HSP気質な俺にとっては、物事が「変わる」ことそれ自体が恐怖でしかない*1のだが。
どこの時代に留まっていたいかは、あるにしても。
…こういう俺みたいなヤツが、老人ホームなんかで同世代を掴まえて「アイツは(俺より)トシだから」とか言っちゃうんだろうな。

思えばこの手の浮いた話はなぁ~んにもないまま、トシだけ取ってしまいました。
いっそ若い頃なら、
親友のカノジョ、寝取ってみたりとか?
不倫にハマってみたりとか?
一度くらいはそんな強引グマイウェイみたいなことも、しておいた方がよかったか(いやいや、「順序」が逆でしょ)。
そういうのが「人生経験抱負」みたいにもてはやされる風潮も、なんだかな。
…単にそこまでの度胸がなかっただけじゃん(自滅)。
だいたい他にこれといった「事例」が思いつかないんだもの、そもそもイメージが貧困(安物AVかっ?!)

自分のことは自分が一番よくわからないし、ましてや容姿に関しては日頃から頻繁に鏡を見る習慣でもない限り…隣で一緒に年を取ってくれる(時間の経過を感じられる)人がいない生活は、体感的には時間も止まったままの日々が流れる。
自身の容姿だけがそれと気づかず少しずつ、年相応に老い衰えていて、ある日突然、その事実を突き付けられるものらしい。

平日、仕事を片付けながら頭の片隅では、この週末になったらやりたいことがいくつも湧いてくるのだが、実際に週末になってみると、前夜の飲酒のせいか無気力で、結局このうちのひとつも手につかない。

それでも食材の買い出しに昼過ぎ、ちょっと出かけたついでに遠回り散歩をして戻ると、自分でも驚くほど気分が前向きに変わっちゃってることがあるから、人間って(俺って)意外と単純、などと思う。
しかしこの生活リズムだと、万が一うまくいっても午前中は全く使い物にならない。

当たり前だが部屋に戻ると俺ひとりしかおらず、そんな俺の今日の予定が明日になったところで、この世の誰ひとり困らない。
そんな週末がもうここ半年ほど、続いている。
某弱小プロ球団でも、130試合中1勝くらいは(!)するもんだが、こちとら今のところ連戦連敗。
「足の爪を切る」ことすら前の晩に、100均で買ったホワイトボードに書いておかないと、翌朝には忘れている。
足の爪は、切りにくいんだよ。老眼になると*2

夕方。
「今日も結局、何もしなかった」
という敗北感とともに、お気に入りのラジオ番組を聞きながら缶ビールを開けてしまえば、酔いとともに敗北感も薄まって強制終了、そのままうたた寝
こんなとき、ふと頭をよぎる、
「もしかして俺が今、このまま消えてしまっても、この世で誰ひとりも困らないのでは?」
という思い。
本人は、そういうと想像されるような陰鬱な気分の中にいるかというと、そうでもなくて。
何より俺自身が酔いの中に浮遊しているので、むしろ何らかの達成感のような、本人が望み続けた「結論」が見えたような、不思議な気分。

今ならこんな気持ちも全て、コロナ自粛のせいにしてしまえる。

*1:個人差、あります

*2:指の爪はメガネを外せば見えるが、足の爪はメガネを外すと近視でボケるし、メガネをかけていると老眼には近すぎて…