迷走。

外社会

フジロックの混雑っぷり、この感染爆発と医療崩壊の中で行われたイベントとは信じられない。
これじゃあRock is Dead (ロックは死んだ) ならぬ Rock is Deadly (ロックが命取り) だよ……

フジロックフェスティバルが、新潟県・苗場スキー場で予定通り（8/20～22までの３日間）開催された。
なんかヒドいね…しか、ことばにならない。


よりによって今、首都圏を中心に緊急事態宣言下にあるこのこの最悪のタイミングで、ごく一部の人たちが生演奏を堪能したお陰で、さらに多くの人たちが心待ちにしている、生演奏を心置きなく楽しめるようになる日が、確実に遠のいた。
もしかしたら俺を含むこのうちの何人かには、二度と生演奏を楽しむ機会が訪れないかも知れないという悪夢だ。
原則無観客となったオリパラの話ではなく、個々人が明確な意思を持って行動しちゃった「結果」は、２週間後の新規感染者数に反映されてくる。
もういっそのこと、症状の有無に関わらず２週間は部屋から一歩も出ないでもらいたいし、万が一発症しちゃっても医療現場はすでにコロナ以外の怪我や病気の人たちですら受け入れられないほどひっ迫してるので、決して病院に行ったりしないで、自宅療養に徹していただきたい。
そのくらいの事前準備と覚悟をもって臨んだものだと思いたい。３日間延べ３万５千人が。
お陰様で今後しばらくの間は、同じような音楽を好きだというだけで、同じように軽率で後先考えない人たち、と周囲から思われちゃうことだろう。

フジロックが今度は「陽性者なし」アピール始めて泣けてくる
ロックってこんなダサかったんだ
「陽性者なし」が安心じゃなくて、「居ても追跡できる」が安心の前提に変わっているのに
ヤクルトが陽性者の席番号まで公表したのがまさにそう

300人に一人が感染している地域から3万人を集めて、一人も感染者がいないって、普通あり得ないですよ。

フジロックの陽性者なし発表ｗどこぞの校長が｢うちの学校にはイジメは1件もありません｣と断言するのに似ているｗ

www.jprime.jp

最終日から一夜明けた24日には、早くも主催者ホームページに、
「会期中の会場においては、ひとりの陽性者も確認されていない」
との勝利宣言（？）が掲載されたそうだ。
明らかな発症者を会場に入れない「水際対策」さえできていれば、くらいの認識しかなかったようで、却って不安になった。
「大本営」が先に「ゼロでした」と発表しちゃったために、後日発症しても主催者に配慮して「フジロック行ってて」と申告しにくい空気になるのではないか、との意見もあった。

フジロックに行き、その後コロナ陽性が判明して、フジロックで感染したんじゃないかと不安になっている人がいますが、大丈夫！
あなたはフジロックで感染したのではなく、感染を広めてきただけです。
あなたは、その前に感染していただけです。

情報に多少のタイムラグがあるだろうが案の定、週明けからぼちぼち、感染・発症者とみられるツイートが散見されるようになった。
素人の俺が見ても「ガチだろこれ」という症状もあって、「フジロックで感染したかも」っていってる。
まぁ現地で感染、最速で発症した、という考え方も、できなくはないが。
むしろ本人は無症状のまま会場に持ち込んで、往復の道中バラ撒いて帰ってきちゃった、の方が現時点では可能性が高いのでは。
結局こうやって、我が身に事が起こらないと何も「学べない」ということなのか。

ついでながら主催者発表によるこの、入場時の「検査」とやらがザルだったことも、はっきりした。

抗原検査は！　症状発症後！　2日ほどしないと！　陽性になりません！！
無症状の人に！　抗原検査をしても！　感染していない証明には！　決してなりません！！
抗原検査で陽性になる3日ほど前から、新型コロナ感染者はウイルスを排出し、他人を感染させます。

この検査キットの選定・仕入れについても、実業家と化した某医師の介在など、何やらキナ臭い噂が絶えない。

フジロックで使われた検査キットは「JOYSBIO」という中国製。
厚労省が未承認で精度に問題があるから使うなと通達を出した物。
そんな物を使って「陽性者０です」って全てがいい加減だなフジロック。

今後は感染・発症者が後になって「フジロックに参加していたことが判明」というような事案が出てきて、ワイドショーや週刊誌がこぞって押し寄せるの図、ってことになりそうなんだが。

話題は一旦、変わって。
東京都と政府は、医療現場のひっ迫を受けて、増床に応じない病院の名前公表という「罰則規定」を適用する方向だという。
これ、部下のモチベーション下げまくる上司の典型と相似形ではないかと。
飲食店の次は医療関係者をフルボッコにしたいのか。
因みにパラリンピックでの学校観戦については、「自治体の方が積極的」だとのことなので、この感染拡大の状況下で「積極的」な自治体の名前も、同じように積極的に公表してはどうだろうか。
そうでないとフェアじゃないよな。

民間もおかしいかも知れないが、行政もおかしくなっちゃってる。すっかり世の中、迷走状態だ。
日テレでは「24時間テレビ」放送前に「イッテＱ」スタッフが、大人数でBBQやっていて感染者が出たことが露見。
沖縄旅行に行っちゃった団体さんは現地で派手にδ株をばらまいて来た、とか。
もはや自制が利かない奴らが好き勝手始めちゃったので、政府の切り札だった緊急事態宣言も、いったいどこまで通用してるのやら「計測」ができない。
実のところ東京都の新規感染者数、昨日・一昨日は少なかった。恐らくは週末で検査総数が減っているところからの報告なので「通常通り」と受け止めていたが、今日は4220人と、ここ数日ようやく連続して減少の傾向を示しはじめている。
一時的かも知れないが、実効再生産数が1.0を切ったという報告（0.97）もある。
しかし、もしもこのまま感染者数が減少に転じるようなら、政府が緊急事態宣言を出したから従った成果、じゃなく、医療のひっ迫を毎日具体的に訴えてきた現場の医療関係者の方々の、地道なことばが響いたんじゃないだろうか、と思いたい自分がいる。

こうしてほんの一筋、光が差してきたと思ったところで、２週間後に「フジロック感染者」から感染（再）爆発…という最悪の流れがあるとすれば、医療関係者でなくとも本当に心折れそうだ、この繰り返し。
いずれにしても、首都圏の新規感染者数が運よくこれから減少傾向に向かったとして、しばらくの間は徐々に周辺地域に拡散していくかに見えて、何度か小さな山を繰り返しつつ落ち着いていくんだろうか。
実際に専門家会議もそう見ているらしく、政府は緊急事態宣言の８道県の追加を決定した。

今日は一日、お気に入りのラジオ番組を聞くともなしに聞き流していたが、放送で「フェス」ということばが出てくるたびに、虫唾が走るってこういうことをいうのか、という感覚に捉われた。
これはしばらく、ダメかも知れない。

後日記

イベント規模は不明なのだが、8月27～29日に群馬県利根郡片品村のほたか牧場キャンプ場で音楽イベント「GLOBAL ARK 2021　－The 10th Anniversary－」が開催された。
www.nikkansports.com
このイベントが物議をかもしたのは、「不織布マスクNG」「酒類の（現地販売はしないが）持ち込み可」だとしている点。
…「パワーアップ」してるじゃん。
というかここまでくると何か「思想的」なものを感じ取ってしまうが。
因みに会場は緊急事態宣言発令下の地域で、自治体が中止を勧告していたが受け入れられず、今日（29日）に至って会場の指定管理者がホームページで経緯説明と謝罪コメントを出す騒動になっている。
これを書いている時点では、当該イベントはもう終わっているはずだが、公式HPとして紹介されているURLには現在、アクセスできない状況。
news.livedoor.com
主催者はどうやら、自身も演奏する「個人事業主」のようだが、悪くすると音楽業界全体の信用が失墜しかねない。
現状、これだけ「δ株」に関する情報*1が出回ってたら、客も普通の感覚ならわざわざ足を運ばないと思ったんだが…やっぱいるのね。


会場から出すな！
会場から出すな！！
会場から出すな！！！

*1:「空気感染」がトレンドワードになるほどピリピリしてる