少年たちは花火を横から見たかった

岩井俊二監督の実写版映画「打ち上げ花火 下から見るか? 横から見るか?」の後日譚。
当時中学生だった主人公のおふたりも、本作の中では20歳(あたり)になっている。
内容はいわゆるメイキングではなく、当時の撮影場所を巡りながら、作品構想が練られていく過程と撮影秘話を解き明かしていく展開。
思うように旅行もできない昨今、「現地ガイド」としてその風景を拝見しようと思い…ますます思い募り、すぐにも出かけたくなってしまった。


余談だが、ヒロイン役の奥菜恵さんは、俺が港区内の会社で働いていた時、真新しい事務所で(別作品の)ロケをされたことがあった。
当時からオッサン社員たちがその日はソワソワと浮足立つほど有名だったらしいが、残念ながら芸能ごとに疎い俺は存じ上げておらず、今にして思えばとても残念な出来事…。

しかし時の流れは、残酷だよなぁ…。

舞台のひとつとなったJR飯岡駅は、どこか懐かしい木造駅舎から瀟洒なコンクリートに建て替えられており、駅周辺の景色も一変。「駆け落ち」のシーンで登場した路線バスは駅前ロータリーにまでは入ってこなくなったらしく、移設されたものの変わらないバス停のポールを見つけて懐かしがっている「現在の」おふたりの画像にちらっと映る備え付けの時刻表には、1日に「4便」しか記載されてなかった。

今日はたまたまラジオ番組内の、県内の観光地を紹介する箱番組で、この映画の「ランドマーク」にもなった飯岡灯台の界隈が取り上げられていた。
この夏季休暇中に行くつもりでひとり盛り上がっていた半月ほど前の自分を思い出し、少しじとっとした気分に。
ご存知の通り感染者数の急増で、県内といえども残念ながら気軽に旅行に行ける気分ではなくなっていた。
運よくコロナには罹らなくても、他にも不意の怪我や病気、熱中症などで搬送されるような事態になったところで、病院が見つかる保障がなく、本当に必要になってしまったとき、必要な人のために医療現場の方々を守るという意味でも、今できることは「自衛」だけだ(継続中)。
あー俺の夏、今年も終わっちゃったなー。今日はまだ猛暑日だったけど。